『ダマして生きのびる 虫の擬態』海野和男 写真・文
[レビュアー] 産経新聞社
葉っぱのふりをするコノハムシ。強者ハチをまねるガ。小鳥の天敵ヘビに化ける幼虫。めったに見られない昆虫の擬態をオールカラーで紹介している。著名な昆虫写真家が、「擬態」をテーマに行った講演の内容を基にまとめた。動画が見られるQRコード入り。
昆虫の捕食者である鳥の目は「人の目とよく似て」いて、「擬態を考える上で、人、鳥、虫の3者の関係を考えることはとても重要」と、著者は指摘する。戦争で迷彩服を着たり、葉のついた木の枝をまとったりと、身を守ろうとする人間の隠れ方は昆虫の擬態に類似しているという。親子で楽しめる本だ。(草思社・2640円)