『よみぐすり』坂口恭平著(東京書籍)

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よみぐすり

『よみぐすり』

著者
坂口 恭平 [著]
出版社
東京書籍
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784487816095
発売日
2022/05/23
価格
1,100円(税込)

書籍情報:openBD

『よみぐすり』坂口恭平著(東京書籍)

[レビュアー] 鵜飼哲夫(読売新聞編集委員)

 つらいことばかりで、明日なんか来ないほうがいい、と言う人にどんな声をかけたらよいのか。

 「大丈夫?」大丈夫なわけがない。

 「頑張って!」これ以上、何を頑張ればよいのか。

 自らの携帯電話の番号を公開した「いのっちの電話」を2012年に開設、年間1万人を超える「死にたい人」の声を聞き続けている著者は、「とりあえず一つうまくいきたい物事を選んで、できるようになるまで毎日練習してみて~」と語りかけるという。

 悩む人は「みんな落ち込むことに時間注ぎすぎ」、「焦燥感から手間を積むことを忘れ」ているという意見に、思い当たる人も多いのではないか。

 「金もかからない、副作用もない精神安定剤、掃除」――。これは自ら躁鬱(そううつ)病を患いながら、うまい下手にこだわらず、絵描きに絵の喜びを任せず自分で描くことを楽しみ、小説も書き、畑作業もする「楽しむプロ」ゆえの金言だろう。

 悩むのは心だが、意識を持つのは私たちの身体である。本書は、凝り固まった心と身体をほぐす、著者による言葉の精選集である。

読売新聞
2022年7月29日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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