<東北の本棚>介護実践者へのエール
[レビュアー] 河北新報
「音声詩人」として活動する著者が、新型コロナウイルス禍のさなかに経験した両親の介護を基にした詩集だ。介護の苦労や思いを表現した言葉は、実際に体験した人や身近に感じ始めた年代へのエールとも言える。
<カクゴハイイカ
コレカラカイゴガハジマルゾ
ツイニキタゾ>
2020年6月、91歳の父が末期がんと診断される。突然始まった介護への戦慄(せんりつ)にも似た思いが、全てカタカナの詩にうかがえる。コロナ下での病院通い、父の死、認知症の母の老人ホーム入所まで、約1年半の介護生活を描く。
現実とのギャップに苦しむ頑張り屋さんに、「“介護の理想像”に苦しんでいませんか?」と投げかける著者。
<頑張り屋さんと言われると
頑張らなくてもいいことでも
頑張ってしまうんです>
そんな日々の中でも、肉親との気持ちのやりとりがしみじみさせる。
<寝言で娘の心配をする母>
著者は仙台市生まれ、日本大芸術学部卒。fmいずみ、エフエムいわぬまでレギュラー番組を担当する。詩集「さとうのつめあわせ」シリーズなどがある。(会)
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ポエムピース03(5913)9172=1320円。