【児童書】『世界 時空の歴史大図鑑』マイオレッリ文、マネア絵、カプラーラ解説、青柳正規監修、山崎瑞花訳

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【児童書】『世界 時空の歴史大図鑑』マイオレッリ文、マネア絵、カプラーラ解説、青柳正規監修、山崎瑞花訳

[レビュアー] 磨井慎吾

■歴史は人間考える学問

歴史って、なに。小学校高学年の子から質問されたら、どうするか。イタリアの歴史図鑑である本書は、こう答える。「川の水のように流れる時間と空間、つまり時空の中で生きる人間について考える学問です」

たしかに川のイメージは分かりやすい。本書前半はビッグバンによる宇宙の始まりから恐竜の時代、人類が長い先史時代を経て現代文明に至るまでの流れを、まず一本の線を引いて周りに各時代を象徴する出来事を描く形で大まかに示す。

その後、メソポタミアに始まる古代文明から中世と大航海時代、宗教改革やナショナリズムの勃興、2つの世界大戦と東西冷戦など、欧州視点での世界史の主要トピックについて各見開き2ページの絵で解説。さらに文学やスポーツ、音楽や科学などジャンルごとの歴史にも触れ、年表部分は観音開きの仕掛けを使うなど、子供を飽きさせない工夫も凝らしている。

過去の人類史を知れば、現代世界がなぜこうなっており、何が課題なのかも見えてくる。大人の鑑賞にも耐える図鑑。(西村書店・3190円)

磨井慎吾

産経新聞
2022年7月31日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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