やる気が出ないときに「やってはいけない」2つのこと

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迷ったら、自分を好きでいられるほうを選べばいい

『迷ったら、自分を好きでいられるほうを選べばいい』

著者
馬場 啓介 [著]
出版社
あさ出版
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784866673875
発売日
2022/06/14
価格
1,540円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

やる気が出ないときに「やってはいけない」2つのこと

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

幸せになるために大切なのは、自分と他人とを比較しないことーー。

頭ではそう理解していたとしても、人はつい、誰かと自分とをくらべてしまいがちです。ましてや社会が劇的に変化した近年において、それはさらに困難なこととなりつつあります。

いってみれば目の前に広がるのは、世間が正解を失い、半歩先の未来すら予測しづらい時代。だからこそこれからは、「自分の正解」を信じて生きていくか、もしくは「誰かの正解」に依存して生きていく以外にないーー。

迷ったら、自分を好きでいられるほうを選べばいい~No.1キャリアコーチが贈る 心の重りを軽くするヒント』(馬場啓介 著、あさ出版)の著者はそう述べています。

まず目を向けたいのは、本書が「誰かの正解」に依存して生きていくと決めている方の役には立てないとの記述。「自分の正解」で生きていくことを選択し、本格的に「自分と向き合う」ことを始めようとする方のために書かれているというのです。

「自分と向き合う」ことは、難しく、面倒で、時に怖いことでもあります。

自分が出した正解も、周りの人にとっては正解でもなく、常に不安が付き纏うものです。ただ、「自分と向き合うポイント」をいくつか知っていると、自分との対話は、とても楽しく、楽になります。

自分との対話が楽しくなると、無駄に自分を責めたり、嫌ったりする時間も減り、自分と仲良く、ご機嫌でいられる時間が増えます。(「はじめに」より)

こうした考え方に基づく本書のなかから、きょうは第4章「『仕事』と向き合う」に焦点を当ててみたいと思います。

やる気が出ないときはどうしたらいい?

人のやる気には浮き沈みがあるもの。ずっとやる気を持続できる人などいないといっても過言ではないでしょう。著者はそれを、海の波のような自然現象だと表現しています。

では、やる気とはどのように付き合っていけばよいのでしょうか。

やる気がない時にやってはいけないことが2つあります。

「無理にやる気を出そうとすること」「自己分析」です。

無理にやる気を出そうと余計なことをしなければ、やる気は必ず自然と戻ってきます。(139ページより)

そして、その“余計なこと”の代表例が「自己分析」なのだとか。多くの人は、やる気がないときほど自分のことをいろいろ無駄に考えてしまうもの。しかし、気持ちが沈んでいるときにあれこれ考えてみたところで、いいことはなにもないわけです。

自分を見直す作業は、やる気が出ていて、うまくいっている時がベストです。(140ページより)

また、やる気がないときに完全に行動を止めてしまうと、まわりの人間を余計に巻き込むことになってしまい、やる気が出るまでに時間がかかってしまうことがあるそう。いずれにしてもやる気がないときは、余計なことを考えず、目の前の“やるべきこと”を淡々とやることが大切であるようです。

やる気に頼ってやるのではなく、やる気があるのであれば頭を使ってやり、やる気が起きないのなら淡々と進める。そういったマイルールを持っていると、やる気の波も穏やかで安定したものになるのだと著者はいいます。(138ページより)

キャリアの上手な描き方は?

キャリアの8割は「運」という研究結果もあるそうですが、たしかに、私たちのキャリアを決めているのは才能や学歴よりも「誰か」です。

出会った「誰か」とのつながりから、良くも悪くも多くの選択肢が広がっています。

出会いを「運」と言ってしまえばそこまでですが、それを「縁」に変えられるかは、その人のコミュニケーション力次第でもあります。

そう考えると、キャリアの8割は「コミュニケーション力」と言えます。(142ページより)

平等に与えられているのであろう「出会い」を素直に生かせるよう、心の状態を整えておくことがまず重要。そのために求められるのは、日々の自分とのコミュニケーション力。そしてさらに、その出会いを信頼関係に変えていける、相手とのコミュニケーション力も大切。著者はそう主張しています。

人は今後のキャリアを考える時に、(どんな資格を取ろうか)(どんな企業に勤めようか)(自分のやりたいことは何か……)などと考えがちですが、それは地に足がついていない考え方です。

まずやるべきことは、今、関わっている人間関係を、今、どれだけ丁寧に、大切にすることができているのかを見直すこと。(143ページより)

もちろん、キャリアの選択は自分でするもの。しかしその選択肢は、「誰か」との信頼関係によってさらに広がっていくものでもあります。したがって、そのことを忘れるべきではないという考え方です。(141ページより)

もっと楽しい仕事はないかな

人の脳は、自分の考えが正しく証明される情報ばかり拾う修正があるので、学校も会社も、つまらない場所、大変な場所だと思って行くと、その考えが正しくなる情報ばかり拾い、つまらなく、大変な場所になりやすいわけです。

では、どうしたら会社を楽しいと思えるのでしょうか。

それには、結果を出すしかありません。(155ページより)

なんにしても結果が出せれば、まわりからの承認も得られて居場所ができ、心に余裕が生まれるわけです。

大切なことは、自分の貴重な時間を使う場所をつまらない場所だと決めつけることをやめ、「楽しい」と思える努力をすること。

そして、日々の退屈な仕事も「どうしたらもっと楽しくやれるか?」という問いを大切に、なるべく笑顔でがんばることです。(156ページより)

楽しむと決めて行動すれば、よりよい結果が出やすくなるものだということなのでしょう。(154ページより)

「自分と向き合う」ことに苦手意識を持っている方、これまであまりしてこなかった方には、本書を通じ、自分と向き合うことを難しくする「思い込み」や「盲点」を知ってほしいと著者は記しています。そうすれば、そこから景色が変わっていくはずだから。「いま」を乗り越えたい方は、参考にしてみてはいかがでしょうか?

Source: あさ出版

メディアジーン lifehacker
2022年8月2日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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