書籍情報:openBD
新書はこれを読め!
[レビュアー] 新潮社
エマニュエル・トッド『第三次世界大戦はもう始まっている』(文春新書)は、ウクライナ戦争開始以来初めて、自身の見解を明らかにする好著。民主主義VS専制主義という構図だけではわからない、歴史の大きな流れが見えてくる。
スージー鈴木『桑田佳祐論』(新潮新書)は、サザンとソロの全楽曲から26作を厳選。エロくキワどく情感豊かで独創的な歌詞のそこかしこに秘められた深い意味を読み解く、これまたオリジナルな音楽批評だ。
ふだん何気なくやっていることにも、掘り下げれば意外に深い意味が隠されている。稲田豊史『映画を早送りで観る人たち』(光文社新書)は、作品として鑑賞することよりも、情報として刈り取ることに熱中するのはなぜなのか、若者に限らず、現代人が抱える消費行動の暗部を解き明かす。
三浦展『永続孤独社会』(朝日新書)は、所有からシェアへの変化をとらえた『第四の消費』から10年後の社会文化論だ。コロナ禍と若者の消費、価値観の変化が浮き彫りになる。
羽根田治『山はおそろしい』(幻冬舎新書)は、登山ブームと夏の行楽シーズンの中、覚えておきたい実例が満載。山岳遭難に詳しい著者の、「明暗を分けるのは、山に対して畏敬の念を持っているかどうか」という言葉が刺さる。