『白洲次郎撮影 「写真家 白洲次郎の眼」』(小学館)

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写真家 白洲次郎の眼

『写真家 白洲次郎の眼』

著者
牧山桂子 [著]/渡辺 倫明 [編集]
出版社
小学館
ジャンル
芸術・生活/絵画・彫刻
ISBN
9784096824016
発売日
2022/05/11
価格
3,520円(税込)

書籍情報:openBD

『白洲次郎撮影 「写真家 白洲次郎の眼」』(小学館)

[レビュアー] 鵜飼哲夫(読売新聞編集委員)

評・鵜飼哲夫(読売新聞編集委員)

 「韋駄天(いだてん)お正」と呼ばれた行動派の随筆家、白洲正子(1910~98年)は、骨董(こっとう)をはじめ良いものを見きわめる目利きだったが、最大の“収穫”は18歳のとき、その西洋人のような身のこなしに思わず「ひと目惚(ぼ)れ」した白洲次郎(1902~85年)だろう。

 戦後、吉田茂に請われ、終戦連絡中央事務局参与となった次郎は、英国仕込みの英語でGHQ(連合国軍総司令部)と渡り合い、「従順ならざる唯一の日本人」とされた。

 2人の新婚時代、商用で滞在した欧米などで、次郎が愛機ライカで撮影した未発表の写真集である。街角の風景、自然、パリ郊外の吉田茂……これは!と思ったらパシャッと撮る。物怖(ものお)じせず、世界をバッサバッサと歩き回った次郎の写真は、対象の姿だけではなく、撮る者の心の躍動まで映す。

 弾む心とレンズの熱視線は、相手を伸びやかにする。船上で朝食をとる正子の表情は、なんと生(き)のままか。

読売新聞
2022年8月5日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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