連作短編集『三千円の使いかた』がヒット中の著者による、お金にまつわる長編小説。
主婦の葉月みづほは、ハワイ旅行に出かけてルイ・ヴィトンの財布を買う夢のため、食費や被服費を削り、つつましく暮らしてきた。ついにハワイで憧れの財布を手に入れるが、帰国後に夫の借金が発覚。返済のため売却した財布は次々に持ち主が変わっていく。
不勉強なまま投資に手を出して失敗した男性や奨学金返済に悩む若い女性ら、今を象徴するお金の問題が物語に絡む。お金の稼ぎ方や使い方には、価値観が反映される。みづほの成長ぶりに勇気づけられる。(新潮社・1540円)
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2022年8月7日 掲載
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