【気になる!】新書『世界史としての「大東亜戦争」』
[レビュアー] 産経新聞社
日本にとっての第二次大戦は、対米戦争のみならず対英、対中、対ソなど性質の異なる戦争が組み合わさった複合的な戦争だった。米国史や中国史、ドイツ史やソ連史などの一線研究者15人が、多角的視点からあの戦争を再検討する。
ソ連の対日戦略を読み解きつつ、自国の安全保障のために勢力圏拡大を続けてかえって戦争を招くという現在まで続くロシアの大国主義的戦略の問題を指摘する花田智之氏、在英日本大使館が少数の親日保守派の情報に頼って英国の政策を見誤ったとするアントニー・ベスト氏など、コンパクトながら読み応え十分。(細谷雄一編著、PHP新書・1078円)