「ベビーカーが来たら道を譲るようになった」 忘れてしまっている優しさに気づいた育児経験をラジオDJ・秀島史香と作家・二宮敦人が語る

対談・鼎談

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ぼくらは人間修行中

『ぼくらは人間修行中』

著者
二宮 敦人 [著]
出版社
新潮社
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784103502937
発売日
2022/07/14
価格
1,595円(税込)

書籍情報:openBD

世界が変わる経験

[文] 新潮社


子育てしたからこそわかる世の中の優しさ

子育てに奔走する日々をあたたかな目線で綴ったエッセイ『ぼくらは人間修行中―はんぶん人間、はんぶんおさる。―』が刊行。本作を読み、共感を寄せたラジオDJの秀島史香さんと東京藝大に通っていた女性と学生結婚し、父親となった作家の二宮敦人さんが、子育てを通じて世界の見え方がわかった体験を語り合った。

秀島史香×二宮敦人・対談「世界が変わる経験」

秀島 はじめまして。

二宮 はじめまして。生でお声を聴く機会をいただけて光栄です。

秀島 そんな(笑)。『ぼくらは人間修行中』を娘と一緒に読ませていただき、お目にかかるのを楽しみにしていました。彼女も「かわいいね」って、連発しながら読んでいました。

二宮 娘さんはおいくつですか?

秀島 11歳、小学5年生です。ちんたんは?

二宮 今年4月に小学校へ入学しまして、ピカピカの1年生です。弟のたっちゃんは2歳になりました。

秀島 4歳違いなんですね。わたしには2歳下の弟がいます。彼が生まれて家にやってきたとき、最初は「わー、赤ちゃんだ」とはしゃいでいたけれど、みんなが「かわいい、かわいい」ってやるものだから、2日後には「うん、もういいから赤ちゃん返してきて」と言ったそうです。女の子で初孫だったからちやほやされて育ちました(笑)。

二宮 面白い。メモしていいですか?

秀島 あ、本当に記録魔なんですね。

二宮 あわよくば原稿に使わせていただければと。

秀島 どうぞどうぞ。

二宮 きょうだいができたら人はどう変わるのか、興味があるんです。自分以外の存在とどう付き合うか。その技術みたいなものを学んでいくのが人間の成長なのではないかという気がしていまして。僕は5歳下の妹がいるんですが、自分の子供時代のことは忘れていたりするので、それを観察させてもらっている感じです。

 とはいえ、まだよくわからないんです。たとえば、明らかに兄がおしつけがましいときがあるんですが、なぜか弟はかまわれているうちに楽しくなっちゃっているらしいとか。僕にはわからない文脈が彼らの中にできつつあるのを最近感じています。

秀島 子供ならではのプロレス的なノリというか様式美ですね。

二宮 そうなんです。彼らの回路を言語化したいけれど、なかなかうまくできない。

秀島 いえいえ、驚くほど言語化されていると思いますけど。『人間修行中』を読んでいて、大人は子供たちの行動を不思議だなあと思いがちだけれど、子供から見たら大人の立ち居振る舞いが不思議だよね、という視点の逆転にもハッとさせられました。

二宮 人間は、通ってきた道を忘れてしまう、いつも今しか見えていないということなんでしょうねえ。改めて見ると、子供の方が大人よりすごいと思わされることがたくさんあります。

新潮社 波
2022年8月号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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