地球上でもっとも深い穴の深さは何メートル? 親子で楽しめる「世界のヤバい話」3選

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学校では教えてくれない ヤバい科学図鑑

『学校では教えてくれない ヤバい科学図鑑』

著者
るーい [著]
出版社
SBクリエイティブ
ジャンル
自然科学/自然科学総記
ISBN
9784815612771
発売日
2022/08/03
価格
1,320円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

地球上でもっとも深い穴の深さは何メートル? 親子で楽しめる「世界のヤバい話」3選

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

学校では教えてくれない ヤバい科学図鑑』(るーい 著、左巻健男 監修、SBクリエイティブ)の著者は、YouTubeチャンネル「るーいのゆっくり科学」を運営している人物。科学にまつわるおもしろい話や日常の疑問、歴史などをわかりやすく解説していのだそうです。

そうしたバックグラウンドに基づいて書かれた本書も、もちろんコンセプトは一緒。理科教育を専門とする東京大学非常勤講師である左巻健男さんによる監修のもと、科学に関する素朴な疑問や、なかなか人に聞くことものできないさまざまな問題に答えているわけです。

世の中には、知ると驚くような不思議なことがたくさんあります。

宇宙の天体や、恐ろしい生物、世界の壮大な現象など、数えるときりがありません。

しかし、その多くは学校で習うこともなく、生活していても耳にすることはあまりないはずです。

「もしも月がなかったら地球はどうなる?」

「世界で最も危険な木」

「50年以上燃え続ける巨大な穴」

など、この本では普段考えないような「ちょっとコワくて不思議な話」を紹介し、その仕組みや原理を科学でひも解いていきます。(「はじめに」より)

きょうはそんな本書のCHAPTER 04「世界のヤバい話」のなかから、3つのトピックスを抜き出してみたいと思います。

地球上でもっとも深い穴の深さはどれくらい?

人間が深い穴を掘る目的の大半は、石炭などの資源や金などの貴金属、ダイヤモンドなどの宝石を手に入れるといったこと。なかでも有名なのはロシアのミール鉱山で、ダイヤモンドを掘り出すための穴は深さが525mもあるのだそうです。それだけでも驚きなのに、アメリカのビンガム・キャニオン鉱山は1200mと、その倍以上も深いのだとか。

それらは人間によって掘られたわけですが、自然にできた穴のなかにはもっと深いものも。たとえばジョージアのクルベラ洞窟は深くなるほどたくさん枝分かれしており、いちばん深いところは深さ2196m。そこへたどり着くには27日間もかかるのだといいます。

ところが最近になって、同じジョージアにあるベロブキナ洞窟がさらに深いことがわかったそう。この洞窟に関してはいまでも調査中で、深さははっきりわかっていないというのです。しかも、それ以上に深い穴もあるというのですから驚くしかありません。

世界一深い穴はロシアのコラ半島にあり、地中深くを調べるために掘られた穴です。この穴は、深さがなんと1万2000mもあります。(139ページより)

ただし地球の中心部は5000℃もの高温であるため、当然のことながら地上から穴を掘るほど高温になっていきます。したがって、もともとはもっと深くまで掘るはずだったこの穴も、やがて穴の温度が180℃にもなったため、それ以上は掘れなかったのでした。(136ページより)

人知れず動く死の谷のふしぎな岩

アメリカのカリフォルニア州にあるデス・バレー(死の谷)には、100年以上誰にも解けなかった大きな謎があったのだそうです。

それは、地面にある何百個もの岩が、いつの間にかひとりでに動いているという怪しげな話。大きなものでは100kg以上もある岩ですら動いており、なにかに引きずられたような跡が残っていたというのです。にもかかわらず、岩が動いているところを見た人がいないというのも不思議な話。そこで研究者たちは調査を行い、岩が動く仕組みを解明したのでした。

デスバレーに大雨が降ると、水が溜まって池ができ、夜になるとその表面が凍りつきます。しかし朝になると表面の氷がとけて割れ、そこに強い風が吹くと、割れた氷全体が動かされて岩に何度もぶつかります。

その結果、少しずつ岩が動かされるのです。いずれ氷や水は蒸発し、動かされた岩だけが残ります。(148ページより)

岩が動くためには、雨、気温、太陽、風などのさまざまな条件が揃うことが必要です。

しかしこの地域はもともと雨があまり降らないため、条件に見合う雨が降ることすら数年に一度といわれているのだそうです。したがって、実際にこの現象が起こるのは非常に珍しいことであるわけです。

事実、研究者たちも岩が動くのを確認するまでに2年の歳月を費やしたといいます。つまりこれは、長い研究を経て明らかになった自然の不思議な現象だということです。(146ページより)

なぜ焼けた炭の上をやけどせずに歩ける?

東京都下の高尾山で毎年、赤く焼けた炭の上を修行者がはだしで歩く「火渡り」の祭りが行われるのは有名な話。また、似たような儀式はアフリカやヨーロッパでもさまざまな目的で行われています。

とはいえ、焼けた炭の温度は数百℃。人間は60℃のお湯に触れてもやけどしてしまうのに、なぜ数百℃の炭の上をやけどすることなく歩けるのでしょうか? このことを説明するにあたり、著者はペットボトルと缶ジュースを引き合いに出しています。

冷蔵庫で冷やしたペットボトルと缶ジュースを手に取ると、缶ジュースのほうが冷たいように感じます。これはペットボトルよりも金属のほうが、ものに熱を伝えやすい性質を持つからです。

逆に、炭は他の物質に比べて、ものに熱を伝えにくい性質を持っています。そのため、短い時間であれば、熱い炭に触れていても足は熱くならず、やけどせずに済むのです。(160ページより)

なお、炭の上を歩ける理由は他にもあるようです。

人間の体の60%は水分でできていますが、水は物質のなかでも温度が変わりにくい性質を持っているというのです。そのため人間の足が熱いものに触れても、一瞬では温まらないというわけです。

一方、炭は温度が変わりやすい性質を持っています。そのため、足に触れた炭はすぐに冷めるので、足はあまり熱くならないのです。(158ページより)

子ども向けなので、当然ながら文字は大きく文章も簡潔。もちろん、イラストや図版も豊富に盛り込まれています。

そのため親子であれこれ意見を交わしながら、残り少ない夏休みを楽しく過ごすことができそうです。

Source: SBクリエイティブ

メディアジーン lifehacker
2022年8月19日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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