「ダメ出し」ではなく「ホメ出し」で世界が変わる。前向きになるホメる技術の身につけ方

レビュー

3
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

わたしの言葉から世界はよくなる コピーライター式ホメ出しの技術

『わたしの言葉から世界はよくなる コピーライター式ホメ出しの技術』

著者
澤田智洋 [著]
出版社
宣伝会議
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784883355525
発売日
2022/06/20
価格
1,980円(税込)

書籍情報:openBD

「ダメ出し」ではなく「ホメ出し」で世界が変わる。前向きになるホメる技術の身につけ方

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

『わたしの言葉から世界はよくなる コピーライター式ホメ出しの技術』(澤田智洋 著、宣伝会議)の著者は、自身の仕事であるコピーライターには「基本姿勢」と「ステップ」があると主張しています。

まずは対象となる商品や企業に「惚れる」こと。つまり最大限「肯定する」というモードに切り替えること。ダメ出ししよう、という目線では見ない。「絶対に素晴らしい魅力がある」という前提で、相手と向き合うのです。そして徹底的に「観察」をする。すると、必ず魅力の「発見」へとたどり着きます。あとは適切な言葉でそれを「表現」する。これでコピーの完成です。(「はじめに」より)

いってみればコピーライターの思考法とは、「ダメ出し」のそれとは正反対であるということ。相手の粗探しをしたり、否定的・批判的なことばを投げつけたりするのではなく、徹底的に相手の魅力を観察し、発見し、言語化するわけです。

なお著者は次第に、広告作業のみならず、まわりの人とのコミュニケーションにもこうした“コピーライター思考”を応用するようになってきたのだとか。つまり「ホメる」とは、相手のキャッチコピーを考えるようなものだということです。

一連のコピーライター思考を人に対して行うことを、私は「ホメ出し」と呼んでいます。(中略)ホメ出しとは、意図的に、相手に祝いの言葉を贈るという概念です。(「はじめに」より)

重要なポイントは、ホメ出しすることにより“前向きなドミノ倒しの連鎖”がはじまるということ。たしかにそうなれば、コミュニケーションも自然とゆるやかになっていくのかもしれません。

そうした考え方を軸とした本書のなかから、きょうは第4章「あなたがホメると、世界はよくなる」に注目してみたいと思います。

苦手なあの人をホメ出しする

誰かをホメるときにまず重要なのは、ホロレンズ(複合現実体験用ゴーグル)ならぬ、「惚れレンズ」越しに対象を見ることです。つまり、相手が「惚れどころ満載」という前提に立つのです。そうすることで、抽出できる相手の魅力や、出力されるホメ出しの量や質が変わってきます。(44ページより)

また、ホメ出しの流儀においては、「愛情バイアス」を意図的にかけることがポイントだそう。相手が「素晴らしい人に違いない」という、ある種の偏愛状態に陥るべきだというのです。

とはいえ現在進行形で「嫌だな」と感じている人に対しては、なかなか「愛情バイアス」などかけづらくもあるでしょう。では、どうすべきか? そんなときには、過去にいた「なんか苦手な人」を思い返すべきだと著者はいいます。

ポイントは、いまの目線で改めてその人を深掘りしたときに、どんな人間像が浮かび上がってくるか。そのとき、思わぬ「ハッ」の出会いがあるかもしれないというのです。

もし小さくてもなにか「ハッ」とした魅力を発掘できたら、ぜひ表現してみてください。ストレート系でいいです。もし周りに誰もいなければ、小声でつぶやいてみてください。(242ページより)

こうしたプロセスを通じてホメ出しへと到達し、結果的に相手の印象がよくなったとしたら大成功。しかし、そこまで至らなくとも、あえて苦手な人をホメ出ししようとしたこと、そのプロセス自体に意味があるのだといいます。(240ページより)

自分で自分をホメ出しする習慣を身につけよう

ホメ出しをするべきもうひとりの対象として、著者は「自分自身」を挙げています。自分で自分にホメ出しするというのは妙な感覚かもしれませんが、きっかけがない限りなかなかできないことだからこそ実践すべきだというのです。

惚れレンズをつけて、自分で自分の観察魔になり、ハッとする瞬間を見逃さない。ホメポイントが見つかったら、ストレートから遠回しな近道までやってみる。

このとき、「離見の見」目線を持つのがポイントです。これは世阿弥が能楽論書『花鏡』で紹介した概念なのですが、平たくいうと、幽体離脱した気持ちで、自分を前後左右から見る目線を持つということです。(245ページより)

すなわち主観的に自分と向き合うのではなく、少し離れて、他人としての自分を見つめる距離感を保つべきだということ。

そうすれば、自分が誰かと接しているときや、あるゴールに向かって努力しているときなどさまざまな場面で、「ハッ、自分ってこんな一面があるんだ」と気づく瞬間があるのだといいます。

もしかしたらその大半は、「当たり前の再発見」かもしれません。しかし冷静に観察してみれば、自分でも当たり前だと思っていた自分らしさが、じつは「独自性」なのかもしれないということに気づけるかもしれないのです。

人は多くの場合、自分のことを過小評価するか、あるいは過大評価しているものだと著者は指摘しています。自分を適切に評価できている人のほうが、じつは珍しいということです。

過小評価しているのであれば、なおのこと自分へのホメ出しが大事です。過大評価していたとしても、評価する点が見当違いの可能性だってあります。だから、やっぱり、フェアにホメ出ししてください。(246ページより)

「こういうとき頭に血がのぼるんだ」とか、「こういう気候のときは元気になるんだ」「こういうことばをかけられたら無条件に熱くなるんだ」というように、自分で自分の観察魔になっておくべきだという考え方。そうすれば、適切に自分と距離を保ちながら、正しく自分のことを認めることができるというわけです。

もし、それでも自分へのホメ出しが難しい場合は、「誰かからホメられたとき」の記録をとっておくことをおすすめします。私はこれを「ホメログ」と呼んでいます。(247ページより)

ホメられたことは、忘れてしまいがち。だからこそログをとっておけば、自分へのホメ出しに自覚的になれるということなのでしょう。(245ページより)

ご存知のようにSNSでは、集中的なダメ出しをすることを(誰かを)「叩く」といいます。

叩けば瞬間的には快感のようなものが得られるかもしれませんが、「その行為は長い目で見たときになにを生み出すでしょうか」と著者は疑問を投げかけています。

たしかに大切なのは、叩くことよりもホメ出しをすること。そうした、忘れてしまいがちだけれど大切なことを再確認するために、本書を参考にしたいところです。

Source: 宣伝会議

メディアジーン lifehacker
2022年8月22日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

  • このエントリーをはてなブックマークに追加