『日本列島の背骨 中央分水嶺を旅する』栗田貞多男著(世界文化社)

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中央分水嶺を旅する

『中央分水嶺を旅する』

著者
栗田 貞多男 [著]
出版社
株式会社 世界文化社
ジャンル
芸術・生活/体育・スポーツ
ISBN
9784418222131
発売日
2022/06/01
価格
1,760円(税込)

書籍情報:openBD

『日本列島の背骨 中央分水嶺を旅する』栗田貞多男著(世界文化社)

[レビュアー] 金子拓(歴史学者・東京大准教授)

 日本は島国であり、国土の約7割が中山間(ちゅうさんかん)地域である。列島のほぼ中央を背骨のように高山が連なり、それらを源とする河川が日本海や太平洋へと流れ込む。それぞれの流域を分ける山が中央分水嶺(ぶんすいれい)と呼ばれている。

 本書はこれら分水嶺の山々を美しい写真と文章によって紹介する。青空と山の緑、可憐(かれん)な高山植物、ところどころに残雪を含み、閑静な火口湖やしぶきをあげる清流。これらの写真を見ていると気分が爽やかになってくる。

 分水の場は高山に限らない。平地の町中にも存する。本書ではこれらを分水界と呼んでいる。中国山地は、山陰と山陽を分ける中国山地が必ずしも分水嶺とはなっていないあたりに自然の不思議を感じる。

 本書を読んで気づかされた。山と海に囲まれて過ごすわたしたちにとって、分水嶺もしくは分水界が、世界のどの国よりも身近な存在であるのかもしれない、と。

読売新聞
2022年8月26日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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