『建築家の解体』
書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます
『建築家の解体』松村淳著
[レビュアー] 産経新聞社
社会学者の視座から、建築と建築家を読み解いた一冊。バブル崩壊以降、建築物を建てる行為自体がネガティブに語られるようになった。しかも国内には800万戸を超える空き家があるとされ、建築業界全体の構造転換の必要性が叫ばれている。いま求められるのは身近な空き家の再生やまちづくりについて相談できる「街場の建築家」で、芸術家のような「スター建築家」ではないという。
安藤忠雄、隈(くま)研吾、谷尻誠…と世代ごとに象徴的な存在を挙げつつ、建築家という特権的職能がいかに生まれ、どう解体に向かっているのかを示したユニークな論考だ。(ちくま新書・1078円)