本当にやりたいことをやれる「いつか」は永遠に訪れない。いまやるための時間のつくり方

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本当にやりたいことをやれる「いつか」は永遠に訪れない。いまやるための時間のつくり方

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

世の中の大半の人は、「本当にやりたいこと」がなんなのかわからない(またはない)か、やりたいことがあったとしても時間がつくれない状態にあるーー。

時間錬金術 「いつかやりたい」を「いまできる」に変える時間のつくり方・使い方』(宮崎伸治 著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者は、そう指摘しています。

なお、そのような人には気をつけてほしいことが2つあるのだとか。まず最初は、ただ時間の流れに身を任せて生きているだけでは、「本当にやりたいこと」がやれる日など永遠に訪れないということ。

そしてもうひとつは、「これをやっておけばお金が入る」といったことをやり続け、仮にそれで相当なお金が入ってきたとしても、「本当にやりたいこと」をやらないまま生き続けるのであれば、心から満たされることはないということ。

お金だの地位だの名声だのというのは、アクセクと追い求め続けたところでそれであなたの人生が輝くことを保証してくれるものではありません。一方、あなたが「いつかやりたい」と思っていることは、(客観的にはどうであれ)あなたにとって価値あるものですから、あなたはそれで輝けるのです。あなたが一番あなたらしくなれるからです。

そして自分の得意技を披露することで人様に喜んでもらえ、お金まで入ってくれば、これほど充実した人生はないでしょう。

「本当にやりたいこと」をやらずに大金を稼ぐ人生より、遥かにワクワクする人生になること請け合いです。(「はじめに」より)

翻訳家として多くのベストセラーを放った実績があり、多くの著作も持つ人物。現在はおもに執筆・講演活動をおこなっているといいますが、つまり“「いつかやりたい」を「いますぐ」実行するためのヒント”を明かしている本書は、自身の経験に裏づけされたものなのです。

第2章「『いつかやりたい』をいま始めよう」に焦点を当ててみましょう。

「いつかやりたい」をいま見つける

著者は文筆業のかたわら、生活を安定させるべく「(労働時間内において、作業中ではないものの、指示があればすぐに従事できるよう待機している時間)」のあるアルバイトを複数箇所で経験してきたのだそうです。そうしたなかで驚かされたのは、そこで働いている人たちに「やりたいことがない」というタイプが多かったことだといいます。

たとえば著者が資格試験にチャレンジしていることを知ると、「資格手当がもらえないのに、なぜそんなにがんばれるのですか。お金にならないことをやってばからしくないですか」と聞いてくるそう。「勉強すること自体が好きだから」といっても信じてもらえないわけです。

また中国語会話のレッスンを受講し始めたとき、中国人の先生から「なぜ中国語会話を始めたのですか。中国出張が決まったのですか?」と聞かれたことも。「中国語を学ぶことが楽しいからです」と答えても、「いままでそんな生徒に出会ったことがない」と驚かれたというのです。

つまりは多くの人が、「やったら得をするからという“飴”か、やらなかったら損をするからという“鞭”」があって初めて努力しているということなのでしょう。そんな彼らについて著者は、「他律的に(自分以外のなにかに影響されて不承不承)努力する人たちなのだ」と述べています。

しかし仕事であれ勉強であれ、不承不承努力し続けてもそれによってあなたが輝けるようにはならないのです。

私がこう言えば、「そう言われても、やりたいものがない」という声が聞こえてきそうです。

しかし、やりたいことは自然と見つかるものではなく、自分で見つけるしかないのです。自分で見つけるのを先送りしていては、いつまでも見つかりません。(49ページより)

事実、著者はこれまでに「やりたいことがない」と何十年もいい続けている人をたくさん見てきたそうですが、彼らのなかで「やりたいことが見つかった」という人は皆無だとか。しかし、それは当然のことだともいいます。いうまでもなく、それは“見つかる”ものではなく、“見つける”ものだから。

そう考えているからこそ、著者は「やりたいことを、いま見つけましょう。いつかではなく、いまです」と強く訴えているのです。いまそれをしなければ、いつまでたっても「やりたいこと」など見つかるはずもないからです。(48ページより)

「いつかやりたい」が見つかったら、いま動き出そう

「やりたいこと」を形にしたいのであれば、すなわち夢を実現したいのであれば、それに向かって相応の努力をする必要があります。

当然ながら「それをいつ開始するか」が重要な意味を持つことになるわけですが、「いまは忙しいから、いつか暇ができてからにしよう」などと、開始をずるずると遅らせる人があまりにも多いのも事実。

しかし現実問題として、そういう人にいつか「暇」ができるとは考えにくくもあります。仮にできたとしても、またその時点でなにか“開始できない理由”が発生してくるであろうことも充分に考えられます。

カナダの教師・政治学者・作家スティーヴン・リーコックは次のように書いています。

「小さな子供は『大きくなったら』と口にする。しかし大きくなったその子は、『大人になったら』と言うのだ。そして、大人になったら今度は『結婚したら』と言い出す。それで結婚したらどう言うと思う? 『引退したあかつきには』に変わるのだ」(54ページより)

たしかに、「いつかやろう」といいながら開始を先送りしている人に、その「いつか」は永遠に訪れないのかもしれません。本当に実現したいと思う夢があるなら、「いつか」ではなく、いま開始するしかないわけです。どんなに小さなことであったとしても、「なにもしないという日をつくらない」ことがポイント。

毎日、必ずどんな小さなことでもコマを進める。それを少しずつ繰り返していくしか夢を実現する方法はないのです。やる気になったときに一気呵成にやろうと思っていても、そんな日など1年のうちに何日もあるわけではないのです。(55ページより)

だからこそ、きょうからスタートするべき。いますぐ始めるべきなのです。

もし、「なにをやらなければいけないのか」がわからなかったとしても、やろうと思えば、やるべきことは必ず見つかるはずだと著者はいいます。それをするのを先送りせず、少しでもいいから、きょう前進する・それこそが、夢を実現するための確実な方法だということです。(54ページ)

著者がいうように、ただ「いつかやりたい」と思っているだけではなんの意味もありません。「本当にやりたいこと」をやって人生を後悔のないものにするために、本書を参考にしてみてはいかがでしょうか?

Source: ディスカヴァー・トゥエンティワン

メディアジーン lifehacker
2022年9月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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