『申(シェン)の村の話』
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『申の村の話十五人の職人と百年の物語』申賦漁著、水野衛子訳
[レビュアー] 産経新聞社
中国・江蘇省に生まれ、パリに住む著者が故郷の村を舞台に「職人」を描く。瓦職人、大工、織物職人…。著者が父や祖父から聞き、また直接見知った人々まで、およそ100年にわたる15人の叙事詩だ。中国で出版後、フランス、アメリカでも翻訳刊行された。
「家譜に1行か2行で記される存在」の職人は、国共内戦や文化大革命など中国社会の変化の激流に抗(あらが)い、また流されながら、図らずも波瀾(はらん)万丈の人生を送る。
田舎の村のぬくもり、荒廃と没落、そこに暮らす人々の肌感覚は、国を問わず読者の遠い故郷の記憶を呼び起こしそうだ。(アストラハウス・2420円)