夏の夜、空を見上げるとよく目にするこうもり。コロナウイルスの宿主として最近評判が悪いが、蚊などを食べる益獣でもあり、東アジアでは伝統的に縁起の良い動物とされてきた。哺乳類として唯一、空を飛ぶ生き物の知られざる生態を描く絵本だ。
その翼は、実は手の指の間にある皮膚の膜。急旋回や急上昇など器用に空を飛び回り、超音波で虫を捉える。秋が深まるころ冬眠に入り、寒さをしのぐ。独特の能力を駆使して懸命に生きる不思議な暮らしぶりを知るうちに、愛らしくも思えてくる。(偕成社・1650円)

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2022年9月11日 掲載
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