【児童書】『どうぶつのわかっていること・わかっていないこと』木下さとみ文、吉森太助絵、京都大学野生動物研究センター監修

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どうぶつのわかっていること・わかっていないこと

『どうぶつのわかっていること・わかっていないこと』

著者
木下 さとみ [著]/吉森 太助 [イラスト]/京都大学野生動物研究センター [監修]
出版社
小学館集英社プロダクション
ジャンル
自然科学/自然科学総記
ISBN
9784796879057
発売日
2022/07/22
価格
1,540円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

【児童書】『どうぶつのわかっていること・わかっていないこと』木下さとみ文、吉森太助絵、京都大学野生動物研究センター監修

[レビュアー] 渡部圭介

■「なぜ」から広がる想像力

おなじみの動物たちにまつわる、分かっていることと分かっていないこと。それらをまとめた絵本だが、動物には分かっているようで分かっていないことが多いのに気付かされる。

例えばキリンはほとんど声を出さないし、長い鼻のゾウは嗅覚に優れていることは分かっている。でも「なんで こえを ださないのか」「なんのために そんなに はなが いいのか」は分かっていない。

そこで止まらないのがこの絵本の面白さで「なぜ」を問いかけてくる。人間やほかの動物との比較も交じえながら想像を深めていく仕掛けだが、分かっていないのだから、答えは載っていない。

その代わり、声が出ないキリンは「あのツノからメッセージをだしている?」といった具合で、ユニークな想像が愛らしい絵とともに展開する。こうした想像をもとに、絵本を監修した研究者たちは日々「なぜ」の解明に挑んでいるのだろう。動物を研究する人たちの想像力の豊かさ、面白さにも触れられる。(小学館集英社プロダクション・1540円)

渡部圭介

産経新聞
2022年10月2日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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