『話せる英文法』
- 著者
- ニック・ウィリアムソン [著]
- 出版社
- SBクリエイティブ
- ジャンル
- 語学/英米語
- ISBN
- 9784815612887
- 発売日
- 2022/09/28
- 価格
- 1,650円(税込)
書籍情報:openBD
学校で習った英語との違いは?ネイティブが使っている英文法のショートカット術
[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)
『ネイティブの生きたフレーズで31のエッセンスが脳に染み込む 話せる英文法』(ニック・ウィリアムソン著、SBクリエイティブ)の著者は、英会話教室「ニック式英会話」主宰。20年以上にわたり、日本人に英語を教えているのだそうです。
そんななか、よく相談される悩みは「苦労して英文法を勉強したのに、英語を話せるようにならない」ということだといいます。このことについては、同じように悩まれている方も多いのではないでしょうか?
そこで今回僕は、日本人のみなさんのために、今までにない画期的な英文法の本を作りました。それが『話せる英文法』です。
この本は、「ネイティブが本当に使っている“生きた英会話フレーズ”で、英文法のニュアンスを楽しく学べる本」になっています。(「はじめに」より)
具体的には、「会話に必要な英文法のエッセンス」と、「ネイティブが実際に使っている生きた英会話フレーズ」を同時に学べるのだとか。
しかも、覚えるべき文法の解説文は最小限に抑えつつ、ネイティブが実際に使っている英語の“おもしろい言い回し”や決まり文句を通して、英文法のニュアンスを体感して使いこなせるような仕組みになっているところがポイント。したがって冒頭から順に読み進めていけば、話せるようになるために必要な英文法の知識が最短で身につくようになっているわけです。
きょうはChapter 0「ネイティブが教える英文法のショートカット」に焦点を当て、基本的な考え方を確認してみたいと思います。
日本の英文法の教え方の問題点〜文法とネイティブは違う
著者は日本人に英会話を教えるなかで、英文法に苦手意識を持っている人の多さを実感しているそうです。その原因は、「中学・高校の英語の授業や受験勉強で、楽しくなくて、ネチネチした、細かくてつまらない、お堅い勉強をさせられたから」だとも。
また、日本の学校の授業がそのようになってしまったのは、「おそらく英語のネイティブじゃない先生が、教科書に書いてあることをその通りに繰り返しているから」だろうとも推測し、その一例として、日本の学校では次のような問題が出ることがあると指摘しています。
問題:この文の空欄に当てはまる正しい選択肢はどれですか?
It is ______ now.
1. rain
2. rained
3. raining
(16ページより)
先生はこの問題の解き方について、「nowがついているから、進行形にしなければいけません。答えはIt is raining now.です」と教えることでしょう。ところが著者によればそれは“逆説的”であり、ネイティブの英語は違うのだそうです。
「文が進行形だから、nowは要らない」んです。
It’s raining.
これだけで、「今、雨が降っている」という意味になるんです。(17ページより)
日本の学校で「nowがついているから進行形」のように、「この単語を使うときには、この文法になる」と教えてしまうのは、日本語の感覚のまま英語をとらえてしまっているから。
たとえば時制に関して日本語では
「普段、なにしているの?」「いま、なにしているの?」「明日、なにしているの?」
というように、「普段のこと」でも「いまのこと」でも「明日のこと」でも、すべて「している」を使うことが多いはず。同じ「している」を使いながら、「普段」「いま」「明日」という単語で区別しているわけです。したがって、そういった日本語の感覚で「usually」や「now」を必ずつけなければならないと思ってしまうということ。
しかし英語では逆に「時制」で「普段」や「いま」を表すため、「usually」や「now」は必要ないわけです。(15ページより)
英語の時制の感覚がわかるとネイティブに近づく
英語の時制の感覚がわかる例として、著者は以下の“英語の決まり文句”を挙げています。
It’happens.
そういうことはよくあるさ。
(18ページより)
日本語だと「そういうことはよくあるさ」といわなければならないことを、たった2語で伝えられるということ。「そういうこと」は「it」だけになり、日本語の「よく」は消えているわけです。英語でこんなに簡単にいえるのは、英語の現在形そのものに「普段からよく起きること」という意味が含まれているから。
もうひとつ、日本の学校で出ることの多い問題を見てみましょう。
問題:この文の空欄に当てはまる正しい選択肢はどれですか?
If I were you, I ______ home.
1. go
2. went
3. would go
(18〜19ページより)
ここでも日本の先生は、「if節の“If I were you”がついていて現実とは異なることをいっているため仮定法過去の文になります。そのためwould goを選びます」と教えるでしょう。でも、本来の英語は「would」を使ってシンプルに、
I would go home.
(16ページより)
だけで、「私なら家に帰るね」という意味になるのだそう。Wouldを使うだけで「もし私だったら」という意味になるので、「If I were you」という前置きは必要ないわけです。(18ページより)
たとえばこのように、わかりやすい例を通じて英文法の知識を学べる一冊。英語でのコミュニケーションをより身近なものにするために、参考にしてみてはいかがでしょうか?
Source: SBクリエイティブ