50冊の本から学ぶ「手書きノート術」。画期的なアイディアを生み出すための実践テクニック

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50冊の本から学ぶ「手書きノート術」。画期的なアイディアを生み出すための実践テクニック

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

・やりたいことはあるのに、なかなか行動できない

・企画業務や、新しいことを考えるのが苦手

・思いついたこと、やらなければいけないことを忘れてしまう

・心の中がザワザワして、落ち着かないことがある

・受験や資格試験の勉強をしなくてはいけないのに、なかなか進まない

・人生を変えたいのに、なかなか良い目標が決められない

(「プロローグ」より)

こうした悩みはすべてノートで解決できると断言するのは、『仕事と勉強にすぐに役立つ「ノート術」大全』(安田 修 著、日本実業出版社)の著者。「デジタル全盛の時代に紙のノート?」と感じる方もいらっしゃるでしょうが、こんな時代だからこそ、紙のノートがさまざまな問題を解決してくれるのだと断言しているのです。

大学卒業後に入社した日本生命保健相互会社で厳しい社会の現実に直面するも、ノートを駆使した学習を実践することで壁を乗り越えることに。以後も勉強を続けることでソフトウェア開発技術者・証券アナリスト・中小企業診断士など多くの難関資格をとりながら仕事で成果を出し、そののち独立起業したという実績の持ち主。起業後の7年間で書いたノートは、ビジネスアイディアだけで33冊にもおよぶそうです。

ちなみに私は「何でもかんでも紙のノートに手書きすべき」という考え方はしていません。手帳やメモ帳、付箋も使うべきですし、この時代に生きているのですから、デジタル機器も大いに活用すべきです。(「プロローグ」より)

つまりはノートを軸としながらも、広い視野を前提としているわけです。そんな本書のなかから、きょうは第2章「目からウロコ! 画期的なアイディアを生み出す企画ノート術」に焦点を当ててみたいと思います。

大量に書いて、捨てる

「大抵のことは頭のなかで考えられるのだから、わざわざ紙に書く必要はない」と思っている方もいらっしゃることでしょう。しかし、こうした意見に対して著者は、「人は頭のなかでそれほど複雑なことを考えることができない」のだと反論しています。

ごく単純に思える内容であっても、紙に書くことで初めてはっきりと言語化され、書いた文字を見て納得したり違和感を感じたりすることで思考が先に進みます。書くことで全体を俯瞰することができて、視野が広がります。

また、手を使って書くことで脳が活性化されるということも各種研究で実証されています。これは作業興奮と呼ばれる現象で、パソコンのキーボードを叩くことでも一定の効果はあるのですが、手書きのほうが効果が高いということです。(57ページより)

人間である以上、「きょうはやる気が出ない」などということがあっても当然。朝起きた瞬間からやる気に満ちているわけではなく、なにかをするから、やる気が出てくるのだということです。

著者もまったく頭が働かないとき、ノートを書くことによって考えがまとまり、それがやる気につながっていったという経験をしているそうです。それどころかほぼ毎日、なにかを書くことで仕事モードをスタートさせているのだといいます。

『ゼロ秒思考/赤羽雄二』では、A4用紙を横書きにして、テーマと日付、4〜6行のメモを書くことを推奨しています。メモを書くことで頭が整理されて、自信が出る。腹が立たなくなり、急成長できると説明されています。(57〜58ページより)

必要以上に時間をかけ、あれこれ考えながら書くのではなく、1枚1分以内で素早く書くべき。それを大量に繰り返すことで、素早く、しかも深い思考法が身につくということで、本書のエッセンスもこの考え方と共通しているのだそうです。(56ページより)

頭のなかにあることを、すべてノートに書く

著者はここで『ブレインダンプ 必ず成果が出る驚異の思考法/谷津潤』という書籍のことを引き合いに出しています。ブレイン(脳)ダンプ(すべて出す)とは、すなわち「脳のなかにあるものを、すべて出し尽くす」ということで、その流れは以下のとおり。

① アイデアを生み出す、脳にインプットする

② 脳を整理する、脳の中身を全て出し尽くす

③ 行動リストを作る、行動の優先順位を決める

④ (行動リストを)実行する

⑤ アイデア、行動リストのチェック、見直し

(65ページより)

つまりブレインダンプはアイデア出しのみならず、行動につながり、成果を出せる仕組みだということ。そして重要なポイントは、タスクの優先順位を決めることであるようです。

また本書では、「アイデアを出すにはテーマに沿った本を読んだり、旅をしたり、人と会ったり、アウトプットをする場をつくる」といったやり方も紹介されているといいます。こうしたことも、自身の行動形態に合わせて応用することができそうです。(64ページより)

ただひたすら、箇条書きで書く

著者は、「ただひたすら、箇条書きで書く」ことが考えるためのノート術の完成形だと考えているのだとか。さまざまなノート術を試した結果、最終的にはシンプルな方法にたどり着いたということなのでしょう。そしてここでは、『書く瞑想/古川武士』からの引用が紹介されています。

「まず書き出してみる。思いついたことをひたすら書き出してみる。考えない。心に湧き上がることをそのまま書いてみる。すると、これまで気づかなかったことに気づく」。そうすることにより心が整うわけです。

1. 書く瞑想

2. 書く片付け

3. 書く習慣化

(75ページより)

の3ステップにより、瞑想のような効果が得られるというのです。「大切な感情に気づき、自分を見つけて、生活・人生を豊かなものにできる」のだといいます。

1. 自己回復

2. 自己管理

3. 自己開発

(75ページより)

の順に人生が向上していくという考え方。考えるためにノートを使うことが多い著者も、イライラしていたりして頭が働かないときは、「ただ思いついたことをノートに書くことでスッキリする」という経験を何度もしているのだそうです。(74ページより)

さまざまな書籍からの引用が、豊富に盛り込まれているところも魅力のひとつ。しかも最初からすべてを読む必要はなく、目的に応じ、必要なことを読むだけでOK。それだけでも相応の効果が得られるということで、活用してみる価値はありそうです。

Source: 日本実業出版社

メディアジーン lifehacker
2022年10月18日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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