近代建築の巨匠、ル・コルビュジエ(1887~1965年)を〝人文主義者〟という視点で捉え直した評伝。原本は39年前、若手建築家だった著者が岩波書店から出したものだが、論考は今も古びていない。
スイスの時計産業の中心地に生まれたル・コルビュジエはなぜ、その作品群が世界文化遺産に登録されるほど揺るぎない名声を得たのか。初期の「サヴォア邸」と後期の「ロンシャンの礼拝堂」は一見対照的だが、一貫しているものが厳然とあるという。それが自然な変化だったことは、彼の生涯と建築、絵画、著作などを概観すれば分かる。(講談社学術文庫・1012円)

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2022年10月23日 掲載
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