夏の高山帯を歩くと、色とりどりの花が咲き誇る一面の花畑に出合うことがある。過酷な環境で、なぜ愛らしい花々が育つのか? 高山植物の研究に30年以上をささげた植物学者が、その生存戦略に迫る。
カギは、高山環境がもたらす自然選択圧だ。軒並み背丈が低いのは、強風よけのため。花の色や形が個性豊かなのは、わずかな無雪期間に一斉に咲くので、花粉を媒介する虫を確実に引き寄せるためだ。それに地形による風や雪の影響差が加わり、狭い地域に複雑な植生が形成される。高山植物を見る目が変わる一冊。(光文社新書・1320円)

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2022年10月30日 掲載
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