『ネコはここまで考えている』高木佐保著(慶応義塾大学出版会)

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ネコはここまで考えている

『ネコはここまで考えている』

著者
髙木 佐保 [著]
出版社
慶應義塾大学出版会
ジャンル
自然科学/生物学
ISBN
9784766428438
発売日
2022/09/17
価格
2,200円(税込)

書籍情報:openBD

『ネコはここまで考えている』高木佐保著(慶応義塾大学出版会)

[レビュアー] 西成活裕(数理物理学者・東京大教授)

 ネコは本当に可愛(かわい)い。ネットでマンチカンの子猫の映像などを見て癒されるのが私の日課だ。昔は実際にネコを飼っていた時期もあったが、体調が何となく悪そうに見えた翌日、突然いなくなってしまった。ショックでそれ以来飼うのはやめたが、去る前に何か一言残して欲しかった。

 何しろ相手はニャーとかシャーとか言うだけで会話ができない。いったい何を考えているのか、その謎に迫る本書は、ネコ好きには最高の贈り物だ。ただし、ネコの気持ちの話ではなく、どう世界を認知しているかという研究の話である。会話ができない相手を理解するためには、探偵のように行動や表情から推理していくしかない。しかし、こういう行動をしたから、こう考えていたはずだ、という議論がいかに難しいかは本書を読めばよく分かる。違う解釈がいくつもできるし、そもそも擬人化して考えてよいのかも分からない。

 本書の最後に、ネコは大した認知能力が無いと思われている現状に対して、「自分が一番賢いと思っている人類に一泡吹かせたい」と書かれている。とても応援したくなる一冊だ。

読売新聞
2022年11月4日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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