京都の魅力に引かれて通い続けるエッセイストが、紫式部、清少納言、日野富子、淀君、上村松園といった歴史に名を残した女性の足跡を訪ね、その生き様を街の姿と重ねて描く。
奈良時代から明治へと「女人巡り」の旅を終えた著者は、平安時代を「今の世で言う『女性性』を、『人間性』として捉えていた世」とみる。
「男も女も花が咲いただの散っただのということに一喜一憂」することこそ「人間らしい」ことで、それを京都に暮らす女性たちは受け継いできたのでは、との視点は新鮮だ。(小学館・1760円)
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2022年11月6日 掲載
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