『人生はそれでも続く』
- 著者
- 読売新聞社会部「あれから」取材班 [著]
- 出版社
- 新潮社
- ジャンル
- 社会科学/社会
- ISBN
- 9784106109638
- 発売日
- 2022/08/18
- 価格
- 902円(税込)
書籍情報:openBD
『人生はそれでも続く 読売新聞社会部「あれから」』取材班著(新潮新書)
[レビュアー] 小川哲(作家)
報道とは、瞬間を切りとる行為である。誰かが、社会に影響を与える行為をする。新聞やテレビはその事実を報じる。そして最後に我々はニュースを知る。
本書は、ニュースの当事者となった人々の「あれから」を調査し、読売新聞の朝刊に掲載した記事をまとめたものだ。日本で初めて飛び級入学をした学生、ドラマ「金八先生」で3年B組の不良を演じた男性、立てこもり犯の説得に失敗した警察官、最終候補に選ばれながらも宇宙へ行くことができなかったテレビ局員、赤ちゃんポストに預けられた男児など、様々な理由で話題になった人々の、報道後の人生が描かれている。
本人の望みとは無関係に「時の人」となってしまった人々は、世間が忘却したあとも、苦悩や夢や希望とともに一人の人間としての人生を歩んでいる。今日も明日も、そんな「時の人」が生まれている。
世間は、時として報道で耳にしただけの情報で誰かを断罪し、過剰な期待を寄せ、何日かするとすっかり忘れ去ってしまう。本書はそんな我々に対し、「あなたはどうですか?」とカメラを向けてくる。