劇場公開中の新作アニメ『すずめの戸締まり』や大ヒット作『君の名は。』などで知られ、いまや日本を代表するクリエーターとなった新海誠。この作家の新しさや魅力について、世界のアニメーション史を参照しながら考察している。
アニメーターなどのキャリアを積まずに監督となった新海の独自性の一つに、著者は精密を極めた背景描写を挙げる。「全貌を捉えきれない観客は、自分自身のスケールを超えた何かと対峙(たいじ)したような気分で残される」と。
不思議な余韻を残す作品群の核心に触れる指摘の数々が興味深い。(集英社新書・990円)

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2022年11月27日 掲載
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