「伝える力」のある人がやっている話し方の基本ルール

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「伝える力」のある人がやっている話し方の基本ルール

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

相手に刺さる話し方』(伊庭正康 著、フォレスト出版)の著者はサラリーマン時代、できる人の話し方には大きな共通点があることに気づいたのだそうです。

たとえばーー

できる人は、ゆっくり話す。1秒間に6文字のスピードで。

できる人は、名刺交換の15秒で、相手の心をつかむ会話をする。

できる人は、「イエス/ノー」で答えられる質問だけでは終わらない。

できる人は、「そうですよね」ではなく「そうなのですね」と相づちを打つ。

できる人は、「もしあるとしたら?」と相手に考えさせ、形勢を逆転する。

(「はじめに」より)

これらはほんの一部ですが、こういったことを通じて「話し方」を少しずつ身につけていった結果、新人のころには振るわなかった営業成績が目に見えて向上していったというのです。

しかもその話し方はビジネスシーンでのコミュニケーションや雑談でも役立ち、気がつけばまわりから「話し方がわかりやすい」といわれるようになったのだとか。

つまり本書では、そうした自身の経験を軸とした「話し方のコツ」を明かしているのです。

本書で紹介する話し方のメソッドを実践していけば、営業、商談、プレゼン、会議といったビジネスのあらゆるシーンで、チート(最強)状態になれます。(「はじめに」より)

きょうはそんな本書の第2章「『できる人』は短く、わかりやすく話す 確実に伝わり、心底納得される説明の極意」のなかから、「伝える力をアップしたければ話し方の基本ルールを徹底的に身につける」に注目してみたいと思います。

“ゆっくり”と“簡潔”に話す

人は緊張すると、早口になってしまいがち。ところが早口で話されると聞き取りづらいため、相手から「話について行きづらいから、適当に聞いておこう」と思われてしまうことも考えられます。

そればかりか、「話すことに精いっぱいで、内容まで気が回っていない」「気持ちに余裕がない」などのマイナス評価につながってしまうかもしれません。つまりビジネスシーンにおいて、早口はタブーなのです。

人が一番聞きやすいのは「1秒間に6文字」程度のスピードです。

緊張して早口になると、1.5倍くらいのスピードになるのです。(75ページより)

そうならないためにも、まずは「ゆっくり話す」ことを意識すべきだということ。なお、そのためのポイントが2つあるそうです。

1つは「話す前に深呼吸をする」です。

「フーーッ」と深呼吸をすることで、脈拍が下がります。

脈拍のスピードと話すスピードは、ある程度一致するため、深呼吸をすることで、話すスピードを遅らせることができるのです。

もう1つは「お腹をふくらませるようなイメージを持ちながら話す」です。

お腹がふくらむと、人は早口では話せなくなるのです。(75ページより)

「ゆっくり話す」は、商談、プレゼンテーション、会議を始め、どのようなシーンでも忘れるべきではない基本だと著者は述べています。(74ページより)

意見ではなく「事実」を話すように心がける

ダラダラと長引く話を聞くのはつらいものですが、「話が長い人」に共通する特徴があるのだといいます。それは「意見」を口にしていることで、たとえば次のような話し方がそれにあたるようです。

OEMの商品って、何かおいしそうに感じられないんですよね。それならば、ちゃんとしたブランドの商品を買ったほうが、お得だと思うんですよね。(77ページより)

このように意見だけで構成された話を聞かされると、ダラダラ感が漂ってきて、聞き手はイライラを募らせるもの。とくに多忙なビジネスの現場において、それは単なる時間の無駄。そこで、意見ではなく「事実」を話すようにすべき

OEMは、小資本でもオリジナルブランドが作れる点と、在庫リスクを軽減できる点、そして販売に特化できる点がメリットです。(79ページより)

こちらはすべてが「事実」で構成されているためダラダラ感がなく、必要な情報が相手にきちんと伝わるわけです。(76ページより)

「句点(。)」を増やして一文を短くする

ただし上記の「よい例」は、なんとなく長く感じもします。理由は、「読点」(、)が多いから。そこでシャープな印象を強調すべく、「読点」を減らして「句点」(。)を増やすのもひとつの手。

OEMのメリットは3つあります。1つ目は、小資本でもオリジナルブランドが作れること。2つ目は、在庫リスクを軽減できること。3つ目は、販売に特化できることです。(80ページより)

このように「句点」を増やせば“サクサク感”が出るため、話のポイントも明確になるということです。

×1カ月で売上目標を達成させる方法ですが、件数を10%アップする方法と単価を10%アップする方法を考えています。

◯1カ月で売上目標を達成させる方法は2つあります。1つは、件数を10%アップすること。もう1つは、単価を10%アップすることです。(81ページより)

同じようにこちらも、後者のほうが話のポイントが浮かび上がっています。(78ページより)

ここで明かされている考え方やテクニックを習得・実践することで、「仕事ができる人」と評価されるようになり、多くのチャンスに恵まれるようになると著者は太鼓判を押しています。話し方の悩みを抱えている方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。

Source: フォレスト出版

メディアジーン lifehacker
2022年12月12日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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