凄腕ヘッドハンターが「人を見る目」を磨くために、面談・面接で心がけている4つのアクション

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経営×人材の超プロが教える人を選ぶ技術

『経営×人材の超プロが教える人を選ぶ技術』

著者
小野 壮彦 [著]
出版社
フォレスト出版
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784866802060
発売日
2022/11/22
価格
1,980円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

凄腕ヘッドハンターが「人を見る目」を磨くために、面談・面接で心がけている4つのアクション

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

多くのグローバルカンパニーのトップマネジメントをしてきたヘッドハンターである『経営×人材の超プロが教える 人を選ぶ技術』(小野壮彦 著、フォレスト出版)の著者は、本書について次のように述べています。

成功を目論むならば、アイデアよりも、ファイナンスよりも、「誰とやるか」がはるかに重要であることは、人生経験を積めば積むほど痛感するものだ。

しかし、その実行はとても難しく、ノウハウは共有されていない。

本書はその問題意識を出発点とする。(「まえがき」より)

大切なのは、本書で提示されているフレームワークを理解し、技術を身につけること。そうすることによって、誰もが構造で人物を見抜き、創造性をもって起用を見立てることができるようになるそうです。

そんな本書のなかからきょうクローズアップしたいのは、第3章「相手の本質を見抜く実践メソッド」内の<人を見る目>を磨くための「実践テクニック」

著者が実際に行ったことをベースにしており、おもに会社の採用試験に役立つ内容となっているのだといいます。とはいえもちろん、面接のみならず商談、会食、お見合いなど、他人と少人数で向き合う場面のすべてにおいて有効だそう。

【整える】【和らげる】【あぶりだす】【ボーッとみる】と4つに分けられたそれらのなかから、「実践メソッド①【整える】――自らの心を整える」に焦点を当ててみることにしましょう。

まず自らの心を整える

人を見るのはとても繊細で、集中力が求められる行為。したがって、できるだけ自らの心を整えて臨みたいところです。

とはいえ日々仕事に追われ、次から次へと問題解決やタスク処理の案件がやってきてしまうというようなことも少なくありません。しかも人間は、なにかと感情を引きずってしまいがちな側面を持っているもの。

しかし、前のミーティングでのイライラを抱えたまま次のミーティングに臨むというようなことは避けるべき。短時間でも、気持ちを切り替える作業が必要であるわけです。

あまりにも当たり前だと思われるかもしれないが、手軽な方法としてぼくがよく行っているのが「深呼吸」だ。

さらに、外を見ながらお茶を飲む時間があれば言うことはない。そんな時間もない場合――例えば「次の面接まで3分しかない!」なんていうときに、ぼくが最終手段として行っているのが「相手のレジュメを見直す」ことだ。(133ページより)

これを行うと、モードチェンジを瞬間的かつ強制的に行えるのだそう。事前に目は通しているとしても、見落としている部分があるかもしれないからです。さらには、そうした資料を眺めているだけで、自然と意識がこれから合う相手に向き、脳が活性化しはじめるというメリットもあるようです。(132ページより)

座り方ひとつで緊張は緩和できる

初対面の相手との面談は多少なりとも緊張するものですが、それは「座り方」である程度緩和することができるのだとか。

たとえば1対1の場合、椅子を真正面に向き合わせるのは避けたいところ。真正面に座られると、人間は恐怖を感じるものだからです。しかし、かといってテーブルの対角線の端同士に座るというのも違和感があります。

そこで、僕がインタビューするときに意識してやっているのは、こぶしひとつ分でいいから椅子を微妙に斜めにずらすこと。ちょっとラフな感じの着座位置を意図的に作り出す。つまり、真正面で向き合わないようにするのだ。

さらに、面談が始まって少し打ち解ければ、体を斜めにして正対しないようにする。(125ページより)

たったこれだけでも心理的に楽になり、和らいだ雰囲気になるそう。難しいことではないだけに、試してみるといいかもしれません。(134ページより)

面談における理想的な人数とは?

いうまでもなく、面談する際の「人数」も重要。基本的には1対1というケースが多いものの、インタビューする側が複数人になる場合はあります。しかし、それも2対1が限度。3人以上だと圧迫面接のようになってしまう可能性があるからです。

したがって、ぼくは基本的に1対1での面接を推奨したい

なお、いわゆる「圧迫面接」をしても、そこから得られることは何もない

たとえ、新卒採用であってもだ。

圧迫面接信奉者のロジックに、「プレッシャーがかかった局面で相手がどう反応するかテストしたい」というものがあるが、的外れもいいところだ。なぜなら面接時のプレッシャーと、仕事におけるプレッシャーは全く違う代物だからである。(136〜137ページより)

そもそもそこには相手に対する敬意が欠けているため、相手の能力を引き出し損ねる結果となり、才能の見逃しにつながってしまうわけです。(136ページより)

ともかくまずは「いい時間」にすることに徹する

もしも自社が超買い手市場で、入社希望者が絶えない状況であったとしても、面談に臨む姿勢は「お互い、いい時間にしましょう」であるべきだと著者はいいます。

いざ評価するとなると、つい厳しい姿勢で臨んでしまいがち。ピリッとした空気は悪くないものの、だからといって不必要にそうした空気を「つくる」必要はないわけです。相手に威圧感を与えても、それはいい印象につながらないのですから。

決しておごらず偉ぶらず、「貴重なお時間をありがとうございます」「ぜひいろいろお伺いしたいです」と、相手を尊重しつつ、興味津々な姿勢で臨んで、そして、自分自身が面談を楽しむことが大事だ。(138ページより)

なお、お互いにいい時間にするためには、やはり出だしが肝心。そこで、まず会う前に相手を想像し、「きょうはどんなことを聞こうか」とシミュレーションするべき。さらにいったん肩の力を抜き、“さあ楽しい時間を過ごそう”と思いながら面接場所に向かうのです。

そして、「お会いするのを楽しみにしていました!」と笑顔で話しかければ、相手はこちらに好意を持ってくれるはず。なぜなら向こうは、これから始まる面接に少なからず緊張しているはずだからです。(137ページより)

本書の内容はビジネスの現場のみならず、プライベートにおいても、さまざまなシーンでの人選び・仲間集めの現場で活用できるそう。“人選び”についての悩みを抱えている方は、参考にしてみるべきかもしれません。

Source: フォレスト出版

メディアジーン lifehacker
2022年12月20日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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