• ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う
  • 日本史を暴く
  • 会話を哲学する
  • 行動経済学の処方箋
  • 流山がすごい

書籍情報:openBD

新書はこれを読め!

[レビュアー] 新潮社

 坂本貴志『ほんとうの定年後』(講談社現代新書)は統計データと分析、ケーススタディから解き明かす現代老後の基礎知識。定年後の生活設計について、曖昧でぼんやりしたイメージしかない、という勤め人には最適のガイドブックだ。

 磯田道史『日本史を暴く』(中公新書)が面白い。著者が日々古文書と向き合いながら収集した裏話やディテールは、知られざる民俗史を伝えながら、誰もが知るような歴史譚にも人間味と味わいを与えてくれる。

 三木那由他『会話を哲学する』(光文社新書)は、日々何気なく繰り返す会話という営みをめぐり、小説や漫画、映画の場面を材料に、言葉の複雑な働きをひもといていく。ネットやSNS隆盛の時代にあって、コミュニケーションを見直すきっかけにしたい。

 大竹文雄『行動経済学の処方箋』(中公新書)は、コロナ対応などリアルな社会課題について行動経済学で分析。将来より目の前の利益を好む現在バイアスへの対処法に説得力。

 大西康之『流山がすごい』(新潮新書)は、千葉県流山市がなぜ、人口増加率6年連続日本一の快挙をなしとげられたのか、市長の来歴をはじめ人材活用、育児政策、産業と交通など多角的に生き生きと描きだす。本当の地方創生は人とアイデアからだと実感させられる。

新潮社 週刊新潮
2023年1月5・12日特大号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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