ステージの上で、光を放つ。「アイドル小説5選」

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ステージの上で、光を放つ。「アイドル小説5選」

[レビュアー] カドブン

「推し」だと言い切れるような、好きなアイドルはいますか?
今や日常生活を送る中で触れない方が難しいほど、社会に欠かせない存在となっているアイドル。今日も歌番組の鮮やかな照明の下で、CMやラジオで、SNSで、そしてどこかのライブハウスのステージの上で、光を放ち続けています。そんなアイドルと切っても切れない関係にあるのが「ファン」。アイドルが放つ光を追いかけることを、何よりの生きがいとするファンも少なくはないでしょう。
しかし、アイドルとファンの間に生まれる関係は、必ずしも幸せ溢れるものばかりではありません。たしかにアイドルはファンに夢を与えてくれる存在ですが、その存在はファンによってしばしば理想化され、神格化され、時には重たい期待を背負わされることもあります。ファンの望む姿と自分の姿のギャップに、アイドルが悩むこともあるでしょう。一方でファンも、大好きなアイドルが予想外の振る舞いをしたりすると、これからも推し続けられるのかどうかと考えてしまったりします。
そのような壁が立ちはだかった時、舞台の上で輝き続けなければならないアイドルは、そしてそのアイドルを「好き」でいるファンは何を思い、どう行動するのでしょうか。答えは星の数ほどありますが、アイドルと、そのファンの感情が描かれたアイドル小説を読めば、答えのうちのひとつを知ることができます。きっと他人事ではいられない、等身大で切実な姿を描いた作品を5つ、ご紹介します。

■切実な感情が光りだす。「アイドル小説5選」

■安部若菜『アイドル失格』(KADOKAWA刊)

ステージの上で、光を放つ。「アイドル小説5選」
ステージの上で、光を放つ。「アイドル小説5選」

NMB48の安部若菜が本気で描く、禁断の「アイドル×オタク」恋愛小説!

僕と彼女は、決して結ばれない運命なのだ– 選ぶのは、恋か、夢か。

冴えない日々を送る大学生のケイタは、4人組アイドルグループ「テトラ」のセンター・実々花の熱烈なオタク。
叶わないと分かりつつも本気で恋をしていた。
一方、高校3年生の実々花は、グループの人気が順調に上がり、熱心に応援してくれるケイタの好意を嬉しく思いながらも、
将来に漠然とした不安を抱えていた。
ある日、実々花は母親との衝突をきっかけに自暴自棄になり、
SNSの情報を頼りに思わずケイタのバイト先へ向かってしまう――。

NМB48の現役アイドルが本気で描く、切なくも希望に溢れた青春小説

(あらすじ:KADOKAWAオフィシャルHPより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/322109000593/

■宇佐見りん『推し、燃ゆ』(河出書房新社刊)

ステージの上で、光を放つ。「アイドル小説5選」
ステージの上で、光を放つ。「アイドル小説5選」

推しが炎上した。ファンを殴ったらしい。

逃避でも依存でもない、推しは私の背骨だ。アイドル上野真幸を”解釈”することに心血を注ぐあかり。ある日突然、推しが炎上し――。デビュー作『かか』が第33回三島賞受賞。21歳、圧巻の第二作。

(あらすじ:河出書房新社オフィシャルHPより引用)

■加藤シゲアキ『閃光スクランブル』(角川文庫刊)

ステージの上で、光を放つ。「アイドル小説5選」
ステージの上で、光を放つ。「アイドル小説5選」

東京・渋谷、午後7時。スクランブル交差点でスパークする愛と再生の物語

人気アイドルグループのメンバー・亜希子は、迫る世代交代に思い悩み、現実から逃げるように大物俳優と不倫を続けている。最愛の妻を亡くしてから写真への情熱を失い、ゴシップカメラマンとして生計を立てる巧はそのスクープを狙っていた。敵対するはずの2人だったが、ある事件を機に思いがけない逃避行が始まる。渋谷スクランブル交差点で激しく交錯するパパラッチと女性アイドルの人生。瞬く光の渦の中、2人は本当の自分を見つけられるのか――愛と再生を描く、疾走感あふれるエンタメ小説。

(あらすじ:KADOKAWAオフィシャルHPより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/321507000114

■朝井リョウ『武道館』(文春文庫刊)

ステージの上で、光を放つ。「アイドル小説5選」
ステージの上で、光を放つ。「アイドル小説5選」

【正しい選択】なんて、この世にない。
「武道館ライブ」という合言葉のもとに活動する少女たちが、最終的に”自分の頭で”選んだ道とは――。 

結成当時から、「武道館ライブ」を合言葉に活動してきた女性アイドルグループ「NEXT YOU」。
独自のスタイルで行う握手会や、売上ランキングに入るための販売戦略、一曲につき二つのパターンがある振付など、
さまざまな手段で人気と知名度をあげ、一歩ずつ目標に近づいていく。
しかし、注目が集まるにしたがって、様々な種類の視線が彼女たちに向けられるようになる。
そして、ある出来事がグループの存続さえも危うくしてしまい……。

「人って、人の幸せな姿を見たいのか、不幸を見たいのか、どっちなんだろう」
「アイドルを応援してくれてる人って、多分、どっちもあるんだろうね」

恋愛禁止、炎上、特典商法、握手会、スルースキル、無料文化、卒業……
この数年であっという間に市民権を得た言葉たちの中には、
アイドルという存在から発生したものも多い。
新しい言葉が生まれた場所から見えてくるのは、今を生きる人々の様々な一面。
現代社会での生き方を模索するすべての人へ送る、真摯な物語。

(あらすじ:文藝春秋オフィシャルHPより引用)

■渡辺 優『アイドル 地下にうごめく星』(集英社文庫刊)

ステージの上で、光を放つ。「アイドル小説5選」
ステージの上で、光を放つ。「アイドル小説5選」

等身大アイドルの〝今〟を描く鮮やかさは、本書がベスト1。
大森 望氏激推し!

初めて行ったアイドルのライブで、メンバーのひとりである楓に一目惚れした夏美は彼女をプロデュースすることを決める。グループの電撃解散後、夏美のアイドルユニットに入る楓、女装好きの男子でアイドルになりたい翼、訳あって天界から人の世界に来たと思っている瑞穂、容姿にコンプレックスがある愛梨……それぞれの内面を鮮烈に描く長編小説。あなたの"推し"が必ず見つかる!!

(あらすじ:集英社オフィシャルHPより引用)

KADOKAWA カドブン
2023年01月06日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

KADOKAWA

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