【児童書】『どうぶつ どっちからよんでも たぶん ぶた』本村亜美文、高畠純絵
[レビュアー] 中島高幸
■身近な言葉から回文作り
「ばく もくば」「ばく おくば」
前と後ろ、どちらから読んでも同じ文章になる回文(かいぶん)に、木馬に乗って遊ぶバクと、口を大きく開けて奥歯を見せているバクの愛くるしい絵が添えられている。動物をからめたさりげない回文に、脱力系の絵が組み合わさると、じわじわと笑いがこみ上げてくる。
本作は『どっちからよんでも にわとりとわに』、47都道府県を回文で紹介する『日本どっちからよんでも さんぽっ にっぽんさ』に続く第3弾。できるだけ少ない文字数で楽しめる回文にしたという本作は、「ひひ」でスタートし、ネコ、カバ、サイなどさまざまな動物がユニークに描かれる。
回文は平安時代後期の歌学書に登場するなど歴史は古く、現代では言葉遊びの一つとして小学校の授業に取り上げられることもある。子供にとっては言葉の豊かさに触れる機会になり、大人にとっても脳のトレーニングになる。身近な言葉から、回文作りに挑戦してみよう。(絵本館・1540円)
中島高幸