人生のターニングポイント「40歳の壁」を乗り越えるための施策『自分業』とはなにか?

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「40歳の壁」をスルッと越える人生戦略

『「40歳の壁」をスルッと越える人生戦略』

著者
尾石晴 [著]
出版社
ディスカヴァー・トゥエンティワン
ISBN
9784799329214
発売日
2022/12/23
価格
1,650円(税込)

書籍情報:openBD

人生のターニングポイント「40歳の壁」を乗り越えるための施策『自分業』とはなにか?

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

仕事では中堅どころとなり、家族もいて、今後の方向性も見えてきた。将来の不安は若い頃より圧倒的に少ないし、生活も順調。

しかし、ふと洗面所で顔を見ると、そこには自分に問うてくるもう1人の自分がいるのです。

「残りの人生も今の積み重ねでいい? 満足している?」(「はじめに」より)

「40歳の壁」をスルッと越える人生戦略』(尾石 晴 著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者がこう指摘するように、「40歳の壁」を前にさまざまなことを感じている方も多いのではないでしょうか?

男女を問わず、職業人生の後半戦に差しかかる“アラフォー”のタイミングで、「このままでいいのかな?」と迷いを感じる人が多いということ。

そこで、40歳前後で多くの人が感じるであろう「モヤモヤ感」、すなわち「40歳の壁」の正体を分解しつつ、自分らしく生きるために「人生の後半戦をどうデザインしていくか?」を考えるために本書は書かれたのだそうです。

すべてのアラフォーにとって、「40歳の壁」は大事な人生のターニングポイント。そのため、男女関係なく、自分に引き寄せて考えられるように気を配って書きました。

私自身も「40歳の壁」にぶつかり、試行錯誤の結果、会社を辞めて自分がやりたい仕事(=自分業)で生きていくことにしましたが、その経験からお伝えできる具体的な施策も、できる限り盛り込みました。(「はじめに」より)

とはいえ著者は、会社を辞めることを勧めているわけではありません。そうではなく、「主体的に」「どうやって」「人生の後半戦を生きるか」に焦点を当てているのです。つまり働き方は、あくまで要素のひとつにすぎないということ。

その点を踏まえたうえで、第2章「40歳からの幸せをつくる『自分業』に注目してみましょう。

40歳から「自分業」をはじめてみる

著者は「幸せな人生に必要な要素」として、次の3つを挙げています。

・お金(収入・資産)

・つながり(家族・友人・知人)

・健康(体力・認知力)

(48ページより)

なお、これらのなかで確実に減っていくものが「健康」(人的資本)。したがって40歳からは、健康は減っていくこと、つながりはメンテナンスが必要であることを意識していくべきだというのです。

ところで、この2つをカバーしつつ、お金も増やしてくれる方法があるのだとか。それは、健康を維持し、つながりを満たし、お金をもらえる仕事を持つこと。そして、「お金」「つながり」「健康」の3つの要素を満たすことができ、やりがいを持って取り組める「仕事」のことを、本書では「自分業」と呼んでいます。

【自分業の定義】

・お金・つながり・健康の3つの要素を満たす仕事。

・やりがいが持てる仕事。

・自分が裁量権(コントロール権)を持てる仕事。

(67ページより)

裁量権を持つことが大切なのは、誰かの決めたルール・時間・賃金で働いていると、3つの要素(お金・つながり・健康)を満たすことが難しくなるから。とくに「健康」に響いてくるといいます。

時間や仕事の内容の調整ができれば、規則正しい生活(生活リズム、運動習慣)を維持できますが、裁量権を持てないと、なし崩し的に身体の健康が損なわれるわけです。そればかりかストレスがたまり、心の健康を損なってしまうことになるかもしれません。(65ページより)

小さな試行錯誤をしてみる

ただし自分業をスタートさせるために、いきなり本業をやめたり、転職するなど大それたことをする必要はないようです。

大切なのは、「お金」「つながり」「健康」の3つが重なるところに「仕事の種」をまくための“小さな試行錯誤”をしてみることだから。

過去にやってきた仕事や副業を書いてみて、どういった仕事を組み合わせたらかないそうか考えてみてください。1つの仕事ですべて満たすのが難しい場合は、仕事をいくつか持てばいいのです。(73ページより)

著者によれば、本業以外に「自分業」を持つと2つの効果があるそうです。まず1つ目は、人生のリスクヘッジになること。本業とは別にもう1つ別の仕事を持っていれば、本業がなくなってもそちらからの収入を育てることができるわけです。

会社を辞めてから始めると、当然のことながら収入が増えるまで時間がかかってしまうでしょう。しかし本業と並行してスタートしていれば、助走期間を本業の収入でカバーすることが可能。

2つ目は、将来への種まきになる点。40代から仕事の種まきをすれば、50代、60代で花が咲くこともありえます。いまはたいしたお金にならなかったとしても、経験が増え、知恵もついてきます。将来的に、それが大きな意味を持つのです。

皆さんも現在やっていることの延長線上に、仕事の種になることがあるはずです。

それを「これかな? どうかな?」と、少しずつ種まきして育てていくことが、もう1つの収入経路を増やすことにもなるし、ひいては、それが人生の大きなリスクヘッジになるのです。(76ページより)

これまでの経験を軸に、将来へとつながっていくさらなる可能性を模索すべきだということ。たしかにそうすれば、「40歳の壁」をポテンシャルとして活用できそうです。(72ページより)

本書を読むことで、「40歳の壁」にぶつかって感じる「モヤモヤ感」を、ネガティブではなく、ポジティブな変化のサインとして受け取ってほしいと著者は述べています。つまり大切なのは、そこを基点としてなにか新たな行動を起こしてみること。人生の後半戦をよりよいものにするために、参考にしてみるべきかもしれません。

Source: ディスカヴァー・トゥエンティワン

メディアジーン lifehacker
2023年1月16日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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