『グッゲンハイムの謎』ロビン・スティーヴンス著/シヴォーン・ダウド原案(東京創元社)

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グッゲンハイムの謎

『グッゲンハイムの謎』

著者
ロビン・スティーヴンス [著]/シヴォーン・ダウド [企画・原案]/越前 敏弥 [訳]
出版社
東京創元社
ジャンル
文学/外国文学小説
ISBN
9784488011208
発売日
2022/12/12
価格
2,090円(税込)

書籍情報:openBD

『グッゲンハイムの謎』ロビン・スティーヴンス著/シヴォーン・ダウド原案(東京創元社)

[レビュアー] 池澤春菜(声優・作家・書評家)

 主人公テッドが見る世界はわたしたちと少し異なる。パターンや物事の仕組みを考えるのは得意、でも人の気持ちや比喩を理解したり、嘘(うそ)をつくのは苦手。夢は気象学者になること。社会や周囲の人々との違いや無理解に悩むテッドだが、その“ほかの人とはちがう”頭脳が大いに役立つこともある。そう、例えば消えた名画の行方を捜したり。

 シヴォーン・ダウドの第一作目『ロンドン・アイの謎』は、子供たちの瑞々(みずみず)しい感性と成長、テッドのユニークな世界の見方が話題となった。だがシヴォーンは第二作のタイトルだけを残して急逝した。それを作品の大ファンでもあったロビン・スティーヴンスが引き継ぎ、書き上げたのが本書だ(だからできれば第一作目も読んで欲しい)。

 人が殺されたり、社会が揺らぐような事件ではない。だけど、テッドにとって身近な人の苦境や悲しみは、何よりも大きな事件なのだ。時に意地悪でエキセントリックな姉のカットや、前作から親友になったいとこのサリムと共に、テッドが少しずつ前に進んでいくその歩みは、とても爽快。越前敏弥訳。

読売新聞
2023年1月27日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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