会話にほめ要素をプラス「ちょい足しことば」で、コミュニケーションは劇的に円滑になる!

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会話にほめ要素をプラス「ちょい足しことば」で、コミュニケーションは劇的に円滑になる!

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

さりげなく品と気づかいが伝わる ちょい足しことば帳』(今井登茂子 著、朝日新聞出版)というタイトルにある「ちょい足し」とは、「簡単で手間もかからないけれど、意外な効果がある」と言う場合に使われることば。本書で紹介されている「ちょい足しことば」も、まさにそんなひとことだというわけです。

普段の表現にプラスするだけで会話が盛り上がる、相手がうれしい気持ちになる、こちらの印象や信頼感が格段にアップする、そんなことば。

難解なものではなく、誰もが見たり聞いたりしたことがあるものばかりですが、多くの方がそれらを普段使いできていないのだと著者は指摘しています。

私はTBSテレビにアナウンサーとして入社、その後独立してフリーランスで活動したのちに、コミュニケーション塾を開き、アナウンサーや企業の経営者層にアドバイスをしたり、社会人になりたての方々に研修を行ったりしながら、60年以上ことばの世界に身を置いてきました。(「はじめに」より)

ちなみにコミュニケーションの先生をしているのは、「かつて、自分ができなかったから」なのだそう。幼いころから人にどう声をかけたらいいのかわからず、以後、試行錯誤を繰り返してきたというのです。

その結果、あることに気づいたのだとか。それは、好かれている人は、ただ「おはよう」や「お久しぶり」だけでなく、必ずひとこと「風邪治った?」「資料つくるの大変だったでしょう」など、“相手に寄り添うことば”をかけているということ。そこで、そうしたことばを「第二のあいさつ」と名づけて実践してみたのだそうです。

すると、自分自身も人と話すことが楽になり、人間関係にも広がりや深まりが出てきました。

そんなことばをまとめたのが、この本です。(「はじめに」より)

きょうは第3章「よいところは素直に “ほめ”のちょい足し」のなかから、いくつかをピックアップしてみましょう。

お目にかかれてうれしいです。

はじめまして。

はじめまして。

お目にかかれてうれしいです。

(62ページより)

「はじめまして」「こんにちは」などのあいさつの「次」にくることばを、著者は「第二のあいさつ」と呼んでいます。なかでも「お目にかかれてうれしいです」は、よく使うことばなので、覚えておくと便利だといいます。

はじめて会う人や久しぶりに会う人と一般的なあいさつを交わしたあと、「お目にかかれてうれしいです」とひとこと添えるだけで、「あなたに会えるのを楽しみにしていました」という自分の思いを伝えることができます。(63ページより)

すると、相手もその思いを素直に受け止め、うれしくなるはず。そうなれば、一気に距離も縮まるわけです。

あいさつはとかく形式的な表現になりがちですが、そこにちょい足しする“相手の立場に立ったひとこと”が「第二のあいさつ」。お決まりのあいさつを、一気にオリジナルに変えることができるひとことだということです。(62ページより)

明るい気持ちになりました。

すてきなオフィスですね。

すてきなオフィスですね。

明るい気持ちになりました。(66ページより)

相手のことをまだよく知らないときは、どこをほめていいのかわからなくなるもの。そんなときは、その人を取り巻く環境に目を向けるのもひとつの手。たとえば、仕事のコンペなどで先方に向かう場合にも役立つといいます。

当日、先方のオフィスの最寄り駅から社屋に向かうまでの道で、目を光らせます。

素敵な公園やレストラン、個性的な建物があるなとか、社屋の入り口に置いてある、座り心地のよさそうな赤いソファがおしゃれだな、生き生きとした観葉植物がたくさん置いてあるな、などなど……。

明るい話題にできそうなもの・こと、相手や相手の会社を間接的にほめられそうなもの・ことを探してみるのです。(67ページより)

相手の心をつかむ、第二のあいさつに使えるネタはきっと見つかるはず。普段からまわりを観察するような習慣をつけると、いざというときにスッとことばが出てくるようになるそうです。(66ページより)

私では思いつきませんでした。

名案ですね。

名案ですね。

私では思いつきませんでした。(84ページより)

日常的に、「あっ、なるほど! それは思いつかなかった!」というようなことばを使うことはよくあるのではないでしょうか?

そこをグレードアップして、「私」と言う主語を明確にすると、より強く感心の気持ちを伝えることができるそうです。

そして、このことばは、ぜひ、さら足しをおすすめしたい!

「どうして」「どんなふうに」「いつ」など5W2H(「When:いつ」「Where:どこで」「Who:だれが」「What:何を」「Why:なぜ」「How:どのように」「How much:数・量」を意識して、相手のアイデアの背景を質問していくのです。

相手はきっと気持ちよく話してくれるはずです。するとより深くそのアイデアの内容を理解できますし、会話も弾みます。(85ページより)

それは、自分自身の今後にもきっと役立つことでしょう。(84ページより)

まず大切なのは、本書のなかから使いやすそうなことばを試し、その効果を実感してみること。そうすれば、きっと自信が持てるようになるはずだと著者は断言しています。

なぜなら、すぐ、気軽に、手軽に試せるのが「ちょい足し」のいいところだから。しかも、手にしたことばは一生もの。本書のなかから、そんなことばを見つけ出してみてはいかがでしょうか? いつか、それがきっと役に立つはずです。

Source: 朝日新聞出版

メディアジーン lifehacker
2023年1月27日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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