変化に弱く、一歩踏み出せない人へ。格好悪くてもリスクがあっても「安全」に飛ぶための4ステップ

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命綱なしで飛べ

『命綱なしで飛べ』

著者
トマス・J・デロング [著]
出版社
サンマーク出版
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784763139993
発売日
2023/01/11
価格
1,980円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

変化に弱く、一歩踏み出せない人へ。格好悪くてもリスクがあっても「安全」に飛ぶための4ステップ

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

「仕事で結果を出したい、成功したい」と望む方は少なくないことでしょう。しかし先が見えない時代において、それは難しいことでもあるはず。

命綱なしで飛べ』(トマス・J・デロング 著、上杉隼人 訳、サンマーク出版)の著者も、「およそ最高の頭脳を持つ人たちが、いまはかつてなかったほど苦戦している」と指摘しています。

あなたが仕事で結果を出したい、成功したいと強く望む者なら、こうした状況において、何をすればいいだろう?不安から解放され、楽しく充実したキャリアと人生を手に入れるにはどうしたらいいだろう?

命綱なしで飛ぶ(flying without a net)ことを学ぶのだ。

行動を妨げる不安を乗り越える。

そこから少しずつ学び、成長し、変化できると思えるようになる。

そうやって身につけたものが仕事に役立つことに気づく。(「はじめに」より)

とはいえもちろん、すぐに命綱なしで飛べるようになることは難しいもの。しかし、だからこそまず気づかなければならないことがあるのだと著者はいいます。

命綱なしで飛ぶためには、勇気を出して「格好悪くてもいいから望ましいことをする」必要がある。それによって「望ましいことを見事にこなせる」ようになるのだ。

仕事で結果を出したい、結果を求める者は避けようとするが、自分の弱さをさらけ出さなければならない。

仕事で今まで以上に多くを達成し、大きな満足を得るには、心を開き、新しいことを学び、今まで知らなかったことも経験しなければならない。(「はじめに」より)

その過程においては、不安を感じたり、自分は無能だと思い知ることもあるかもしれません。しかし、それは進歩の前段階だと考えるべきだというのです。

きょうは、こうした考え方を前提として書かれた本書の12章「命綱なしで飛べ!」に注目してみたいと思います。

リスク世界で『安全』に飛ぶには?

目の前の現実に視点を定めることができず、目をつぶって「まばたき」をしてしまう。

これによって、自信を決断力を喪失し、消極的になる。

仕事で結果を出したい、成果を上げたいと思う者が不安を生み出す罠にはまると、考えすぎて行動できなくなることがよくある。

新しいことに挑戦せず、新しいアプローチを試みないどころか、決めたことや約束したこともできなくなってしまう。(367ページより)

ここでいう「まばたき」とは、未知の恐怖をおそれ、ためらいが生じ、以前とった行動をとろうとすることを指すそう。過去に固執し、古い行動や自分の考え方に閉じこもってしまうということです。「意を決して引き金を引かなければならない」ということは心の奥でわかっているものの、まばたきをしてためらってしまうのです。

問題は、まばたきは一瞬でできるものであり、その一瞬で、多くの人が努力を試みなくなること。あらゆるプロフェッショナルたちは、一瞬まばたきすることで疑念と不安に駆られてしまい、行動できなくなる。それどころか、「やめたほうがいい」という思いにしがみついてしまったりもするわけです。

とはいえ著者は、「チャンスがあればリスクを考えず闇雲に飛び込むべきだ」と主張しているのではありません。

「命綱なしで飛ぶ」(flying without a net)のは、「目をつぶって飛ぶ」(flying blind)のとは違う。

「命綱なしの飛行」が機能するのは、準備が整い、よく考えたうえで、自分の弱さをさらけ出し、勇気を持って行動に望むのがいいと判断できるときだけだ。(368ページより)

なお、成功を望んで熱心に仕事を進める人には、決断しなければならないことがあるようです。

不安を感じたり、リスクを伴う可能性がある状況に直面したときには、目をそらさず、前に進むのが正しいと信じて、前進する覚悟が必要だということ。

そうすることによって、「望ましいことをする」という強い意志を持つことができるわけです。(367ページより)

「まばたき」せずにいるための手順

まばたきしないことはそれほど難しくないと思われるかもしれませんが、現実の世界でそれは非常に困難なこと。そこで著者は、重要な決定を前にまばたきせずにいるための、有益な手順を示しています。

1. 恐怖や不安と向き合う

なにが自分を「望ましくないことを無難にこなす」というところにとどめてしまっているのか? なぜ「恰好悪くても望ましいことをする」への移行に恐怖や不安を感じるのか? それらを正直に考えてみるべきだということ。

2. 恐怖や不安を克服するために「目標」を立てる

「いま、なにをどうするか」という難しい判断をするのではなく、「なにを達成したいのか?」「その実現にどんな犠牲を払わなければならないのか?」など、将来なにをしたいかを考えてみることが大切。

そうすることによって、「まばたきしない」強力な意志が得られるわけです。

3. 学習し、成長するために、「自分は弱い、不安があると認める必要がある」と考える

「自分は弱い、不安がある」と認め、それが学びと成長につながると考えてみる。

それができれば、「望ましくないことを無難にこなす」状態から、「恰好悪くてもいいから望ましいことをする」状態に移行することが可能。

4. 否定的なことを想像する

重要な決定を前にまばたきしてしまう自分は5年後、10年後になにをしているか想像してみるということ。

まばたきをして学習と成長のチャンスをつかめずにいれば、行き詰まってしまうかもしれません。しかし否定的なことを想像すれば、まばたきしないと思えるようになるわけです。(380ページより)

「仕事で結果を出したい、成功したい」という人にはそれだけでなく「自分は変化できる」と考えてほしいと著者は述べています。そう信じて本書を読み進めてみれば、いままで気づかなかった大切なことに気づくことができそうです。

Source: サンマーク出版

メディアジーン lifehacker
2023年1月31日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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