『しごとへの道1』
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【児童書】『しごとへの道1 パン職人 新幹線運転士 研究者』鈴木のりたけ作
[レビュアー] 藤井沙織(産経新聞社)
■挫折体験に気づき
人気シリーズ「しごとば」の著者による新シリーズの第1弾。さまざまな職業に携わる人への取材をもとに、その人が今の仕事に就くまでの半生をコミック仕立てで描く。本作は、パン職人、新幹線の運転士、研究者を取り上げている。
どうすればその職業に就けるかのハウツーではなく、3人の子供時代からの紆余(うよ)曲折が、リアルかつコミカルに描かれる。事業縮小で早期退職を余儀なくされたホテルマンだったパン職人。甲子園の夢に破れた元野球少年の運転士。中学時代に不登校になった研究者-。それぞれに苦難や挫折の日々を経験している。
3人の物語に共通しているのは、失意の中にあっても、やりたいことやできることを考え、実行していること。だからこそ人生を変える人物と出会い、転機を自らの意思でつかめた。
どんな職業を選んでも、自分をつくるのは子供の頃の感動や努力、そしてこれからの行動だと改めて気づかされる。対象は小学校高学年からだが、社会人にも気づきのあるシリーズとなりそうだ。(ブロンズ新社・1430円)
藤井沙織