近代日本の一つの到達点となった日露戦争(明治37~38年)。大国ロシアとの戦争という異常な緊張下で国民国家化は急速に進み、そして緊張がゆるんだ戦後には社会や文化に巨大な変化が訪れた。
農村から工場地帯への人口移動で機械文明は大きく進展し、また競争社会の到来による不安の増大は人生論や宗教的思想のブームをもたらした。そして小説の言文一致化など、日本語そのものも変わっていく。
大正期などと比べ注目されにくい20世紀初頭の文化的変容について、独自の視点で知られる文化史家が総合的な見取り図を描く。(平凡社新書・1210円)
-
2023年2月5日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです