自分をよろこばせられる人がやっているいくつかの習慣

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自分をよろこばせる習慣

『自分をよろこばせる習慣』

著者
田中 克成 [著]
出版社
すばる舎
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784799111024
発売日
2023/02/06
価格
1,430円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

自分をよろこばせられる人がやっているいくつかの習慣

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

当然のことながら、幸せな人生を手に入れることは多くの人の望み。それはなかなか難しいことでもありますが、『自分をよろこばせる習慣』(田中克成 著、すばる舎)の著者は、「特別な才能や努力は必要なく、ただ『いま』という時間を悦(えつ)ればいい」のだと断言しています。

悦るとは聞きなれないことばですが、要するに「悦(よろこ))び」を探すことが大切だということのようです。

人は、自分の「悦(よろこ)び」を探すだけで、幸せな人生を手に入れられます。(「はじめに」より)

拍子抜けするほどシンプルですが、実際のところ、自分の人生を幸せにするためにすべきことはさほど多くなく、継続が難しい習慣も必要ないそう。また、たくさんのお金も長い時間も不要だといいます。

幸せな人生を手に入れるために意識すべきことは、

「嫌いな自分でいる時間を減らして、好きな自分でいられる時間を増やす」

これだけです。(「はじめに」より)

著者によれば、好きなことを仕事にする必要もなし。「好きな自分でいること」で、いまの仕事もどんどん好きになっていくのだとか。

仕事が好きになれば収入も上がり、無理なく「自分が運がいい」と思えるようになるかもしれません。その結果、コミュニケーション力も高まり、好意的に接してくれる人が増えていく可能性もあるというのです。つまりは、すべてがうまくいくということ。

こうした考え方に基づく本書のなかから、第3章「幸せの探求者であれ」に焦点を当ててみましょう。

探求者より、探究者であろう

もしも幸せな人生を送りたいのなら、新しいことや、新たな自分探しをするのではなく、「すでに好きなこと」「すでに好きな自分」を発見し、それを深掘りするべきだと著者は主張しています。

その際には、「探求者」より、「探究者」であろうとする感覚が大切な意味を持つのだとも。

「探求者」はやみくもに探し求めている人で、「探究者」は何かを究めようとしている人です。

前者は結果的に何も見つからなかったということも多いですが、何かを究めようとしている後者は毎日が発見の連続です。(86ページより)

たとえば著者の場合は、ビジネスの役に立つセミナーよりも、誰かが純粋な興味をよりどころにして探求したマニアックな話のほうが好きなのだそう。

わかるような気がしますが、つまり人が“悦”を語るときには、ことばでは説明できない不思議な引力が生まれるものだということ。

だからこそ“自分が悦り続けられるなにか”を深掘りしていくと、よりおもしろい毎日が訪れ、結果として、より多くの幸せが集まってくるはずだと著者はいうのです。(86ページより)

「いつか、いつか」は、いつか必ずやってくる

「『いつか、いつか』と口にしている人は、結局のところ、いつまで経ってもやらない」、そんな話を耳にすることがあります。ところが著者は、「それは大嘘」だと反論しています。

多くの成功者の半生を1年ずつ細かくインタビューした結果、どんなに偉い経営者も「いつか、いつか」といい続けている時期が必ずあったというのです。

なお、人が行動を起こせるようになるまでには、次の4つのステップがあるそうです。

① 最初のステップは「不言不実行」です。

「言いもしないし、やりもしない」。こんな時期も誰にでもあるものです。だって怖いじゃないですか。言ってしまったら絶対にやらなければいけない気がして。

② 次のステップは「有言不実行」です。

「夢や目標を語るけれど、行動はできない」という時期。この時期が長く続くと、周囲から「口だけ」とか「行動しろ」なんてひどい言葉を浴びせられるようになります。でも、ここで「口だけ」をやめてはいけません。有言不実行を意地と気合いと根性で続けていくと、いつまでも行動できない自分自身に嫌気がさして、勇気を振り絞り行動を起こせます。

③ 次はいよいよ「有言実行」のステップです。

夢や目標を語り、行動も起こす。すると、夢や目標が現実になっていきます。行動を起こすことに抵抗が薄れていきます。

④ そして、当たり前に行動を起こせるようになると、口にするよりも早く行動している「不言実行」の人になります。(94〜95ページより)

いますぐに実行できなくてもOK。まずは口だけでいいので、自分が行動を起こせる日まで、「いつか、いつか」と夢や目標を語り続けてほしいと著者はいいます。なぜなら、その「いつか」は必ず訪れるものだから。(94ページより)

宣言してみる

いつかやりたいことがあるなら、それを宣言することから始めるべきだと著者。

たとえば旅行がしたいなら、どこへいきたいかを周囲に話したり、手帳にメモしたり、ひとりで口に出したりしてみるということ。また、目に見える場所に書いておけば、旅行に行きたい気持ちと理想のイメージが固まってくるというのです。

もし、いつまでも実行できない自分が嫌になってきたとしたら、やってみるべきは上でご紹介した手順。そのとき重要なのは、フラストレーションをためまくることであるようです。

理由は、フラストレーションがたまりにたまると「開きなおり」のスイッチが入り、当たって砕けろの精神で実際に行動を起こすことができるようになるから。

私が尊敬してやまない、不良牧師として知られるアーサー・ホーランドさんは、重さ40kgの十字架を肩に担いで、日本、アメリカ、南米、韓国、台湾など、世界中を歩いてメッセージを発信しています。

70歳を超えて人生の集大成として計画中なのが、キリスト教が日本に伝わってきた道のりを辿り、イスラエルのエルサレムから日本までを2年かけて歩くというものです。

じつは、この計画は数年前から言われています。

先日、アーサーさんにこの計画を実行する時期を聞いたところ、「俺はそういうのは決めないんだよ。俺のなかのモチベーションと周囲の環境が整ったとき、『よし、何月に実行しよう』って、心が教えてくれるから」と教えてくれました。(96〜97ページより)

このエピソードからは、宣言することの大切さ、そして、やがて訪れる「いつか」をキャッチすることの重要性がわかるのではないでしょうか。(96ページより)

現実問題として、人生に劇的な変化が起こる機会は限られています。しかし視点を変えれば、いつもと変わらない景色も大きく違って見えるもの。

そんななかで「悦」に囲まれながら自分らしくいられれば、自分も周囲の人たちも幸せになれるはず。そんな著者の考えを取り入れ、生かしてみれば、日常はより魅力的なものになるかもしれません。

Source: すばる舎

メディアジーン lifehacker
2023年2月9日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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