「できる営業」と「できない営業」で差がでる、メール対応の大きな違い

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「できる営業」と「できない営業」で差がでる、メール対応の大きな違い

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

1000人のトップセールスをデータ分析してわかった 営業の正解』(山田和裕 著、かんき出版)の著者によれば、業種・業界を超え、「できる営業」には共通する成功特性があるのだそうです。

つまり、それが“営業の正解”。逆に、「できない営業」に共通する失敗特性(悪い癖)は「営業の不正解=間違い」ということになるわけです。だとすれば、その差を知っておきたいところ。

本書は、営業の正解をまとめた本です。

「できる営業」と「できない営業」のよくあるパターンを対比させながら、営業の悩みに答える形で正解を導き出します。また、豊富な事例や分析例を各項目の中に織り込みます。(「はじめに」より)

いまの時代の営業は、顧客の課題を共有し、一緒に解決するお手伝いをすることだと著者はいいます。

営業の本質を理解しないまま、単なるモノ売りと考えて思考停止に陥ると、つまらない仕事のように思えても当然。しかし、その役割を「顧客の課題解決に協力すること」と定義すれば、営業がクリエイティブで魅力的な仕事であることがわかるのです。

営業は重要でやりがいのある仕事です。

どんなにいい商品があっても、ネットで売れるモノばかりではありません。顧客の求めるものを察知し、琴線に触れるような提案を行う創意工夫が求められます。だから営業は必要であり、数も多いのです。

しかし、時にお客様に煙たがられ冷たくあしらわれることもあり、辛く感じるときもあります。どうやれば、お客様に感謝され、自社の商品やサービスを効果的に売ることができるのか。営業の永遠のテーマです。(「はじめに」より)

ヒントは、課題解決型やコンサルティング型にシフトしていくことだそう。そうすることで、立ち位置を変えることができるということです。

こうした考え方に基づく本書の第2章「《営業の正解・初級編》これから『できる営業』を目指す人へ」の中から、2つのポイントを抜き出してみましょう。

スピーディに対応できていますか?

できない営業は▶︎いつも返事が遅い

できる営業は ▶︎基本は即答

(44ページより)

スピードの重要性はよく目にするところですが、重要なのは「どれくらい早く行動すればよいのか」というスピードを具体的にルール化しておくこと。そうでないと、人によってばらつきが生じてしまうからです。

そして「できる営業」は、「スピード対応のルール」を自ら設定しているもの。たとえばメールであれば、次のような3つのパターンに分けて対応するというのです。

① メールを見たら、いったん置かずにその場ですぐ送信 ※見直す時間が無駄

② 外出時などですぐ返信できない場合は、その日中、遅くとも24時間以内に返信

③ 内容的にすぐ返信することが難しい場合は、まず短い受取確認メールを入れて、いつまでに返信すればよいか確認した上で、その期限までに約束通り返信

(45ページより)

一方、いつも返信が遅いのが「できない営業」。急ぎの要件であろうがなかろうが、誰からのメールに対しても常に“一定のリズムで返信が遅い”ということです。

なおメールと似ていますが、質問や見積への対応にも4つのルールがあるそうです。

① 言われたらすぐその場で回答

② その日中(夕方まで)に回答

③ 1日(24時間)以内に回答

④ 時間のかかるものは、スケジュールを具体的に示して、約束通りに回答。ただし、期日ギリギリに取り掛かるのではなく、着手は3日以内

(46ページより)

金額が比較的少額で本格的な提案や値段交渉がいらないビジネスでは、とにかくスピードが重要。

商品に関する質問が出たり、見積を依頼されたりしたら、基本的にはその場ですぐ答えを返すくらいのスピード感が求められるわけです。

内容や事情によりすぐ返せない場合は、いつごろになるかを伝え、その約束を必ず守ることが鉄則。

ぐずぐずして放っておくと、待ちくたびれたお客様が別の競合に決めてしまう可能性も否定できないはず。それどころか「あの営業に頼んでも遅い、使えない」という印象を持たれてしまうと信頼を失い、次から話が来なくなってしまうことも考えられます。

わかっていてやりたくても、できずに苦しんでいる営業もいるでしょう。

スピーディに対応できないものも確かにあります。その場合は、繰り返しになりますが、いつまでかかるかちゃんと説明して、具体的な期限を示し、約束を守ればよいのです。(45ページより)

いいかたを変えれば、そんなところにも「できる営業」と「できない営業」の差が出てくるということ。小さな約束をきちんと守っていけば、やがて「できる営業」として関係構築に必要な“信頼ポイント”を着実に稼いでいけるわけです。(44ページより)

小さな約束をちゃんと守っていますか?

できない営業は▶︎約束を軽く考える

できる営業は ▶︎小さな約束を必ず守る

(60ページより)

「すぐやります」というだけで、その約束を守らない営業がもっとも嫌われるのは当然の話。一方、「できる営業」は、小さな約束を守るために次のようなことを行なっているのだそうです。

まず最低限の基本は、メモをとること。そして、簡単なことなら忘れないうちに即対応。手間がかかる内容なら、約束を守るためにやるべきことを明確化し、対応時間を確保するために、期限から逆算してスケジュール化するべき。

次に大切なのは、打ち合わせの最後にメモで確認しつつ、約束したことをお互いに確認すること。お客さまは約束したと思っていても、営業の側は約束したという意識が低かったというようなトラブルが避けられるわけです。

そして最後は、社内の詳しい人に相談し協力してもらうことすべてを自分ひとりでやろうとしても限界があるため、チームや関連部署などに協力してもらって、組織で対応するのです。

そうすれば、営業自身の負荷が減って楽になるはず。なお会社にFAQ集が整備されているのであれば、普段から熟読し、回答パターンを頭に入れておくことも忘れずに。(60ページより)

ここで紹介されている「営業の正解」を確認してみれば、いままで気づけなかった新たな知見が得られるはず。

そればかりか、「自分なりにやってきたものの、漠然と『これでよいのか?』と感じていたこと」が正しかったのだと再確認できる可能性もあります。そういう意味でも、活用のしがいがある一冊であるといえそうです。

Source: かんき出版

メディアジーン lifehacker
2023年2月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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