『日本中から嫌われている僕が、絶対に病まない理由 今すぐ真似できる! クロちゃん流モンスターメンタル術30』
書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます
シュンと反省する振りをして心の中は相手を見下すメンタルで!
[レビュアー] 吉田豪(プロ書評家、プロインタビュアー、ライター)
安田大サーカスのクロちゃんのように、いくら嫌われても問題ないと腹を括ることができたら生きやすくなる。これはメンタルをやられる人が多い世の中だからこそクロちゃんに学ぼうという趣旨の本なんだが、真に受けて実行するのは困難だよ!
なにしろ彼は、「芸人になってからは、自分の要領が悪かったこともあって、団長(安田大サーカス)や先輩芸人から怒鳴りつけられることが日常茶飯事。そういうときは『きちんと部下を叱ることもできない、無能な先輩なんだな』と心の中で相手を見下していました」というスタンス。「『同じことを何度も言いやがって』『大体、要点がまとまっていないんだよな』『大丈夫かよ、この人? ボケが始まってるんじゃないの?』といった感じで冷ややかに眺めています。その際に忘れてはいけないのは、怒られたときはシュンと反省する振りをすること。全力でポーズを取るのは大人としてのエチケットです。でも腹の中では『話が長いな、こいつ。面白くもないくせに』とバカにしても全然OK」。
そういう先輩相手の舐めた態度が隠しきれていないからこそTKO木下に革靴で頭を踏まれたりもしたんだろうが、クロちゃんは「これは僕なりのメンタル・ディフェンス術なんです。怒りの言葉を100%真に受けていたら、こっちの身が持たないですよ」と言い張る。しかし、自分のミスでチームが負けた人へのアドバイスで、「『ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワン』というのがチームスポーツの基本。連帯責任という言葉を決して忘れてはいけない。私がミスしたということは、お前らがミスしたということと同じである。それなのに、なんで私だけが責められなくちゃいけないのか? この神聖な競技を汚しているのはお前らのほうだから、むしろお前らが反省しろ!」と言い出すのは精神が強靭すぎるというか、もはや狂人だとすら思えるレベルなのであった。