【気になる!】文庫『牧野富太郎の恋』
[レビュアー] 産経新聞社
植物学者の牧野富太郎と愛妻の生涯を描いた小説。富太郎は、江戸時代の終わりに土佐の商家に生まれながら、植物学の研究に目覚めて上京。小学校中退の学歴で、ついには東京帝国大学の理学博士となり、「日本国の宝」ともいわれた。
研究のため今の価値で3億円もの借金を抱え、学内では嫉妬されるなど、さまざまな苦労を乗り越える。
今春スタートするNHK朝ドラ「らんまん」のモデルでもある牧野の異能ぶりに、改めて舌を巻く。夫を支えながら13人の子を産み、「毎日先が見えないような、ワクワクドキドキする暮らし」を面白がった妻の才覚はあっぱれ!(長尾剛著、朝日文庫・880円)