『うまくいっている会社の非常識な儲け方』
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もの・サービスを売りたいときに欠けてはいけない「2つの視点」
[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)
『うまくいっている会社の非常識な儲け方』(おじま優來 著、すばる舎)は、「どうやったら会社の売上をアップさせられるか」と悩む人たちに向け、儲かる事例を解説した書籍なのだそう。
しかし、そもそも「非常識な儲け方」とはどのようなものなのでしょうか? この問いに、著者は次のように答えています。
非常識な儲け方=どこで儲けを出しているのかわからない上手なビジネスモデル。(14ページより)
たとえば、仕入れ値が1万円の商品を2万円で販売したとしたら、儲けは1万円。100個販売すれば、100万円の利益が出ることになります。いうまでもなく、これは「普通の販売方法」であるわけです。
では、仕入れ値1万円のまったく同じ商品を1万円で売るとしたらどうでしょう?
儲けは0円です。
これを100個販売しても、1000個販売しても、利益は0円です。(15ページより)
利益が出ないものを売ってもビジネスにならないのですから、いたって当然の話。そのため、なにかを売ろうとするとき、多くの方は「普通の販売方法」を選択することになるでしょう。
ところが、「非常識な儲け方」は後者にあるというのです。
でも、利益の出ない商品を販売することで、どのようにして利益を出すのでしょうか? そのことを理解するためには、まず「お客様の購買心理」と「お客様の3ステージ」を理解する必要があるようです。
お客様の行動心理を理解し、利用する
なによりも重要なのは、「お客様はなぜ商品を買うのか?」という原理原則を突き詰めること。具体的には、まず「人間の購買意欲は2つの心理によってのみ動く」ということを理解するべきだと著者は述べています。
その2つとは、「悩みを解決したい心理」と、「欲求を満たしたい心理」。
人がモノやサービスを買うときには、
・何かの悩みを解消させたい気持ち
・何かの欲求を満たしたい気持ち
必ずこのどちらかによって購入しています。(19ページより)
なお、そのことを説明するために、ここでは「ドリルを購入する人は、ドリルが欲しいのではなく穴が欲しい」という考え方が引き合いに出されています。マーケティングの本などによく登場する話なので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
一般人なら、ドリルを購入する理由は棚をつくるために穴を開けたり、その穴に固定のためにネジを入れたりするためです。
つまりドリルで穴を開けた先には、完成した棚だったり、地震対策で家具を固定したりと、想像している未来があるわけです。
人はこうした理想の未来を手に入れるために、モノやサービスを買っています。(22ページより)
この“理想の未来”のことを、マーケティング用語で「ベネフィット」と呼びます。著者のことばを借りればベネフィットとは、「お客様が手に入れたい本当の未来のこと」。
このベネフットを理解できるようになると、おもしろいようにモノやサービスが売れるようになるのだそうです。(18ページより)
お客様は「見込み客」「新規客」「リピート客」の3種類
お客様には、大きく分けると3つのステージがあるのだと著者は指摘しています。
まず1つめが、「見込み客」のステージ。商品に興味は持っているものの、まだなにも購入していない人たちのことを指すわけです。
2つめは、商品を初めて購入した人たち、すなわち「新規客」。そして3つめは、商品を2回以上購入した「リピート客」。
ビジネスは、この3種類のお客様をそれぞれ集め、増やしていくことにほかならないということです。
そこで、
・どうすれば、自社商品に興味を持ってもらえるのか?
・どうすれば、1回めの購入をしてもらえるのか?
・どうすれば、2回以上の購入をしてもらえるのか?
たったこれだけのことを考えて、行動すればいいのです。(26ページより)
この3つの質問にはたくさんの答えがあり、その方法やアイデアこそがビジネスモデルになったり、マーケティングの手法になったりするのだといいます。
なお大切なのは、この3種類のお客様を分けて考えること。見込み客、新規客、リピート客をそれぞれ増やすべきだという発想です。そして、それぞれのお客さまの数を把握するために必要なものがリスト、つまり「連絡先」。
そして、それぞれのリストに含まれているお客様データの数が「リスト数」です。
・まだ商品を買っていないお客様の「見込み客リスト」
・1回以上買ったお客様の「顧客リスト」
・2回以上買ったお客様の「VIP顧客リスト」
(31ページより)
たとえばこのように分け、3つのリスト数をそれぞれ増やしていくことが、ビジネスの安定につながるというのです。(25ページより)
こうした基本的な考え方に基づき、以後の章では「非常識な儲け方」がさらに解説されていきます。ビジネスをさらに拡大するために、参考にしてみるべきかもしれません。
Source: すばる舎