仕事の遅い人と速い人の違いは「手抜き」にあり

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会社員のまま経済的自由を手に入れる ハック大学式 超現実的で超具体的なお金の増やし方

『会社員のまま経済的自由を手に入れる ハック大学式 超現実的で超具体的なお金の増やし方』

著者
ハック大学ぺそ [著]
出版社
あさ出版
ジャンル
社会科学/経営
ISBN
9784866674230
発売日
2023/01/26
価格
1,540円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

仕事の遅い人と速い人の違いは「手抜き」にあり

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

会社員のまま経済的自由を手に入れる ハック大学式 超現実的で超具体的なお金の増やし方』(ハック大学 ぺそ 著、あさ出版)の著者は、外資系金融機関で働きながら「ハック大学」というYouTubeチャンネルを運営している人物。

同チャンネルで発信されているのはビジネスパーソンに役立つスキルや思考法などの動画コンテンツですが、いちばんの得意分野であるお金の話については、あえて多くを語ってこなかったのだそうです。なぜなら、資産形成のアプローチは人それぞれだから。

とはいえ、お金のことで悩んでいる人が多いことはわかっていたのだとか。しかも目先のお金のことではなく、「今のままではお金が足りない」「このままでは定年後が不安です」など、“未来のお金”のことについて不安を抱えているというケースが多いことが。

どうしてそんなことを考えてしまうのだろう。

よくよく話を聞いてみると、お金のことをよくわかっていないのが原因でした。わかっていないから、目の前にあるお金や預金残高を眺めては不安になっていたのです。(「はじめに」より)

そこで、「お金の悩みから解放されて、心から豊かになってほしい」との思いから本書を書き上げたというのです。

2部構成になっており、PART 1では「自分のお金の現状を知る」「目標を設定する」「資産形成のための道筋を描く」と資産形成の方法を具体的に解説。次いでPART 2では、資産形成の理解を深めるための知識、はじめる際のポイントが解説されています。

しかし、それらを習得するだけでなく、「稼げるビジネスパーソン」としてのマインドを高めていくことも重要であるはず。そこできょうは巻末の「会社員として稼ぐ力を上げる仕事術10選」のなかから、2つのポイントをピックアップしてみたいと思います。

仕事が速い人がやっている手抜きのコツ

仕事が速い人は、総じて手抜きがうまいもの。ただし手を抜くのは、重要度が低いものや、ムダだと思うもののみ。逆にいえば仕事が遅い人は、どんな仕事でも一律にエネルギーを注いでしまうため効率が悪くなるということです。

もちろん、それでも結果が伴うのであれば問題はないかもしれません。しかし、もし人よりも時間をかけたにもかかわらず結果が思わしいものにならなかったとしたら、軌道修正をする余裕もなくなってしまうのは当然の話。

たとえば、「お客さまからのクレーム対応」と「上司に頼まれた書類作成」という2つの仕事が同時に発生したとしましょう。そんなとき、まず優先順位をつけるのが仕事の速い人

クレーム対応は会社の信用につながるので、早急に対応すべき。いっぽう、書類作成はルーティン化されているものも多く、他の人にも依頼できるはず。したがって仕事の速い人は、クレーム処理のほうを優先するわけです。しかもスピーディーに解決できれば、お客様から喜ばれ、信頼も回復できることでしょう。

これはあくまで一例ですが、どの仕事を取り、どの仕事を捨てるか。

手抜き上手になるには、適切に取捨選択できるようになることがとても大切です。(208〜209ページより)

仕事が速い人は、他の人と同じ仕事量をこなしながらも、上手に効率よくさばくことによって時短を実現しているというわけです。なぜなら、仕事のプロセスに隠れているムダを見抜いているから。そしてもちろん、ムダをなくすことは仕事をスリム化させることにもつながるのです。(208ページより)

ビジネスの現場で「数字」に強くなる

ビジネスではしばしば「数字に強い」という表現が用いられることがありますが、これは算数の得意不得意を意味するものではないと著者は述べています。

しかも、ビジネスにおける「数字に強い」は2種類あるのだそうです。

1つは、数字の羅列からどういう共通点があるか、どういう傾向があるかというストーリーを導き出すことです。

もう1つは、ストーリーを数字に落とし込むことです。

例えば、市場規模や嗜好傾向、トレンドなどを「多い」とか、「増えている」とかではなく具体的な数字に置き換えるようなことです。そうすることで、圧倒的に説得力が増します。(216ページより)

なお著者はここで、2つの「数字に強くなる方法」を紹介しています。

まず1つ目は、会話に数字を織り込んでみること。

たとえば「あのプロジェクトは順調?」と聞かれたとき、「あまりうまくいっていないです」ではなく、「3つの工程のうち1つまで完了しています」「進捗は約30%です」というように数値を使って解答するように心がけるということ。そうすれば脳が言語を数値に変換する作業に慣れ、「どの数値を示すと説得力が増すのか」という発想が無理なくできるようになるのだそうです。

もう1つは、数字を使って推理してみること。

これは巷で有名なフェルミ推定を行うクセをつけるということです。フェルミ推定とは、実際に調査するのが難しい数値を少ない手がかりをもとに論理的に推論し、短時間で概算することを指します。(217ページより)

「昼食を食べたパスタ料理店で、その店の1日の売上を計算してみる」「新幹線に乗っているときに、その日1日で東京から名古屋に行った人は何人いるかを計算してみる」などなど。難しく考える必要はなく、「計算してみる」という習慣を身につけることが肝心だということです。

このように数字を生活のなかに組み込むことがクセになると、数字を“使い勝手のいいツール”として体に浸透させることができるようになるそうです。そしてそのあとは、ビジネスの現場にも積極的に取り入れてみればいいわけです。(216ページより)

冒頭でも触れたように、資産形成のアプローチは人それぞれ。だからこそ、さまざまな情報が盛り込まれた本書を通じ、自分に適した手段を見つけてみたいものです。

Source: あさ出版

メディアジーン lifehacker
2023年3月6日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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