『まんがでわかる 畑の虫』
書籍情報:openBD
『まんがでわかる 畑の虫』木村裕監修/大中洋子絵(農山漁村文化協会)
[レビュアー] 宮部みゆき(作家)
タイトルどおり、本書でその生態を紹介されている虫たちは、モノクロのまんがで描かれている。写真は後ろの方に少しだけ。全体としては虫が苦手な方でも大丈夫です。「畑の虫」とあるので農業の専門書の一つのようだけど、害虫に対処するノウハウ(農薬を使うやり方も、使わないやり方も)のわかりやすい解説には、家庭菜園やベランダ菜園を楽しんでいる一般人向きの親切な指南書の趣があります。
私は住宅と町工場と様々な店舗が入り交じった町なかに住んでいますが、春先には玄関のドアを開けたら目の前に毛虫や芋虫が這(は)っていたりするし、ナメクジやカミキリムシ、カメムシはよくベランダで見かけます。その都度、異星人に接近遭遇したみたいに大騒ぎしていたけれど、本書のおかげで少し慣れることができました。やはり「知る」ことの効能は大きい。