「今日の芸術は、うまくあってはいけない。きれいであってはならない。ここちよくあってはならない」
平成8年に死去したアーティストの岡本太郎は「芸術の三原則」をそう論じた。本書は、岡本太郎記念館の平野暁臣館長がプロデュース。岡本が書き残した「芸術感覚と芸術家精神に関するテキスト」を集成し、再構成したもの。
「正」と「反」は対立しながらも共存しており、人間存在は常に「引き裂かれたままの運命を背負っている」。その矛盾を引き受けながら生きることを推奨する言葉は、現代においても色あせず、力強い。(SB新書・990円)
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2023年3月26日 掲載
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