【聞きたい。】杉村貴子さん『たとえ明日終わったとしても「やり残したことはない」と思える人生にする』

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【聞きたい。】杉村貴子さん『たとえ明日終わったとしても「やり残したことはない」と思える人生にする』

[文] 三保谷浩輝


杉村貴子さん

■亡き夫のメッセージ届ける

平成23年、がんのため47歳で死去した夫・杉村太郎氏はバブル期に大学時代の同級生と「シャインズ」を結成。現役サラリーマンデュオとして話題になり、「私の彼はサラリーマン」のヒットで人気を集めた。

太郎氏はその後、就職や転職を支援するキャリアデザインスクール「我究館(がきゅうかん)」を創設し、今も年1回刊行が続く就職指南書『絶対内定』を創刊した。

その太郎氏が死の前に残した言葉「やりたいことは次々と出てきてきりがないけれど……、うん。やり残したことはない」が、本書執筆のきっかけだった。

「なぜ彼はそう言い切れたのか。やり残したことのない人生、後悔のない生き方とは何か。それを突き詰めていく中で出会ったのがウェルビーイングでした」

「満たされた幸せな」といった状態を表すウェルビーイングは、日本でも企業の経営理念に取り入れられるなど世界的に注目されている。その方法論として、キャリア理論で幸せを構成する4要素とされる「仕事・愛・余暇・学び」の英語の頭文字から名付けられた4L理論と、ポジティブ心理学で幸せを感じる心理状態とされる5要素の頭文字を組み合わせたPERMA(パーマ)理論の2つを知った。

「4つのLのバランスを意識し、PERMAの栄養で満たすことで後悔のない幸せな人生になる。太郎さんも満たされていたのだ」と思い至り、この考え方を自らの理論とした。本書は、自分だけが知る達成感といった幸せの気づきに読み手を導こうという内容。

「人々の人生を輝かせるというのが彼の夢でした。人のために役立つことで自分も幸せになると教えてくれた。この本で、彼のメッセージを一人でも多くの人に届けられたらうれしい」

子育て、会社経営とともに、夫からバトンを受け継いだ。夫に背中を押されてきた自身の人生はどうだったのか。「その日その日で『やり残したことはない』と胸を張って言えます」(日本実業出版社・1650円)

三保谷浩輝

   ◇

【プロフィル】杉村貴子

すぎむら・たかこ 実業家。昭和49年、東京都生まれ。青山学院大卒。現在、ウェルビーイング・アカデミア代表など。

産経新聞
2023年4月2日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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