『とことんエナガ、シマエナガ』BIRDER編集部編(文一総合出版)

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とことんエナガ、シマエナガ

『とことんエナガ、シマエナガ』

著者
文一総合出版
出版社
文一総合出版
ISBN
9784829972434
価格
1,760円(税込)

書籍情報:openBD

『とことんエナガ、シマエナガ』BIRDER編集部編(文一総合出版)

[レビュアー] 西成活裕(数理物理学者・東京大教授)

 「先生はシマエナガに似ている」――先日、ある読書委員にこう声をかけられて妙に嬉(うれ)しくなった。好きなものに似る、というのは本当なのかも知れない。私はシマエナガのカレンダーを長年愛用している。特に冬に体を膨らませて豆大福のようになった姿を見ると、仕事の疲れも一気に癒やされる。写真家の小原玲さんが撮影したものがお気に入りだったが、残念ながら彼は一昨年に逝去された。これまで存分に魅力を届けてくれたことに心より感謝したい。

 本書には多くの写真はもちろん、エナガとの違い、撮影のコツなども載っていて、野鳥専門誌の出版社ならではの内容だ。シマエナガの成鳥の頭部は白いが、幼鳥やエナガには眉毛のような黒っぽい模様がある。大勢ですずなりに並ぶ様子は可愛(かわい)らしく、俗に「シマエナガだんご」と呼ばれる。ただこれは幼鳥だけに見られる行動なので、残念ながら真っ白のだんごは見られないそうだ。ちなみにエナガならば都内にもいる。読後、街を歩きながら街路樹を見上げている自分がいた。

読売新聞
2023年4月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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