日本の音楽評論の先駆者、吉田秀和(1913~2012年)は「音楽とは何か」という問いに、「それはバッハを聴けばわかる。これが私の答のほとんどすべて」と書いた。
ドイツの偉大な作曲家、バッハだけは「書こうとすると、何かがすくむ」と複雑な心情を吐露している吉田だが、本書には彼のバッハに関する文章が網羅されている。しかも4年前に出された初刊版に、「カール・リヒター」「クリスマスのJ・S・バッハ」など4本を追加した決定版。バッハを聴くと何が分かるか。その答えをぜひ読んで確かめてほしい。(河出文庫・1078円)
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2023年4月9日 掲載
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