『北斎富嶽二〇〇景』
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『北斎富嶽二〇〇景』和田京子編
[レビュアー] 産経新聞社
「神奈川沖浪裏(なみうら)」「凱風(がいふう)快晴」で世界的に知られる江戸後期の浮世絵師・葛飾北斎の、富士山を描いた作品約200点を収録。
北斎は生涯にわたって富士山を描き、有名な錦絵シリーズ『冨嶽三十六景』や絵本『富嶽百景』のほかにも数多くの作品を残した。なぜ富士山なのか。編者は、民間信仰「富士講」が庶民に広がるなど富士図の需要が高かったことに加え、近代絵画の父セザンヌが繰り返しリンゴを描いたように、北斎が絵画芸術を研ぎ澄まそうと模索したのではないかとみる。
美人画やくしの図案もあり、富士山の多様な表情を描き分けた表現力に驚く。(平凡社・4180円)