現政権が目玉政策とする「デジタル田園都市国家構想」。ルーツは大平正芳が当代一流の知識人を集めて昭和55年に発表した「田園都市国家構想」にあるが、オリジナル版の理念「都市に田園のゆとりを、田園に都市の活力を」の前半部分が、現在の構想では欠落しているのではないか。
大平構想について、戦後日本が提起した最も本格的な長期的国家ビジョンと高く評価する経済学者が、その源流にある英国の田園都市構想、さらにそれを日本独自の形で発展させた柳田国男の構想を参照しながら、現代的な都市と地方の調和のあり方を模索する。(ちくま新書・990円)
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2023年4月16日 掲載
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